man-hole
2013年11月13日(DVD)
(2001年:日本:109分:監督 鈴井貴之)
この映画は、後に『銀のエンゼル』を撮る鈴井貴之監督初監督作品。
北海道テレビの「水曜どうでしょう」を知らなかったら観る事はなかったでしょう。
「水曜どうでしょう」ではディレクター陣2名と出演者として、大泉洋、その所属事務所OFFICE CUEの当時、社長の鈴井貴之が出ていたのですが、この映画を撮る為に、2000年「水曜どうでしょう」は半年間休止します。
(その間にディレクター陣は『四国R-14』という怪奇もののドラマを作る)
主演は、「水曜どうでしょう」準レギュラーの安田顕。
北海道、札幌の派出所に新しく配属された新米警官。正義感に燃えているものの先輩警官はどちらかというとやる気なし。
そんな時に、親に反抗している女子高生、希(のぞみ)と出会う。
希は、厳格な両親に反抗してこっそりデートクラブでアルバイトをしています。その元締めが大泉洋。
先輩警官が北村一輝だったり、デートクラブの同じアルバイトに小池栄子や尾野真千子がいたり、デートクラブの客がきたろうだったり・・・とキャストが豪華で、観ていておお、こんな人が・・・とそれは楽しい映画です。
あの人をさがせ!みたいな映画は、それはそれで面白いのですが、なにぶん「何を描きたかったか」がぼやけているように思いました。
あれも、これも描きたいと言う気持は解るのですが、正義の青年、安田顕と親への反感をなくしていく女子高生の出会いと幻のマンホールを探すファンタジックな部分とが乖離してしまっている。
確かにキャストを観る眼福としてはいい映画で、特に「水曜どうでしょう」を観ているとその関連がたくさんあったりして楽しく観ましたが、どうだろう、映画としての満足度は野口照夫監督の『たとえ世界が終わっても』も「ふくれっつらの美少女や美人が最後はにこやかに笑う」というおおまかなアウトラインは同じでも、『たとえ世界が終わっても』は登場人物を極力、少なくしてその分、出てくる役者へのクローズアップぶりって、中途半端はだめだよ、というのがわかったのです。
この映画も主演の安田顕は監督、鈴井貴之のいわば一番弟子であって、随分と厳しくされたそうですが、「役者(人間)を綺麗に撮ろう」という心意気より、あの人もこの人も撮りたい・・・かな、と。
思春期の親との不和というのは、もう、わたし個人的にもういいや、、、みたいなのもありましたし、女子高生、いいねぇ・・・と10代の女の子を愛でる気持も少ない。
男優陣もいいんだけどなぁ・・・最後まで見終わってみると役者さんのバラエティ度は確かに高いけれどね・・・誰に思い入れする訳でなく、という中途半端な気持になりました。
テオ・アンゲロプロス監督やセルゲイ・パラジャーノフ監督の映画は出ている役者さんで知っている人は皆無に等しい。
それでも「映画が映画をひっぱっていく力」というのはすごいものがある訳です。
知名度の高い人をなるべく集めて、眼福としての映画は一回は楽しく観られるけれど、何度も観るかどうかは疑問です。
では、この『man-hole』という映画は嫌いか、というと結構好きです。
作り手のこだわりとそれを受け取る観客の間には必ず距離がある訳で、それを特典映像、メイキング、副音声などで最近は埋めるというのは、ぜいたくな事です。
音楽もいいし、偉い人が出てこない、小市民映画としてきちんとまとまってはいます。
まぁ、この映画を観る前ですけれど、安田顕は監督に「歯(歯並び)をよくした方がいい」と言われ前の歯、12本を差し歯にしたという話に戦慄してしまいました。歯並びはそう悪くはないけれど、歯は弱くて、白くて綺麗な歯って生まれつきの人はいいよね、などと思っていたのですが、そんな甘い世界ではありませんでしたね。この話を知ってからしばらく何故か、自分の歯を総差し歯にする夢にうなされました。あ。あまり映画に関係ないですが、妙に安田顕の歯並びに目がいってしまったのもたしか。
情報少なかった『銀のエンゼル』の方が無心に観られたなぁ。情報も良し悪しですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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