清須会議

清須会議

2013年11月24日 TOHOシネマズ錦糸町にて

(2013年:日本:138分:原作、監督、脚本 三谷幸喜)

 三谷幸喜監督の初の映画での時代劇。

三谷幸喜監督映画って大勢の人が出てきて、どちらかといえばホテルとかラジオ局など狭い場所での色々な人の思惑が迷走する、というものが多く、この映画も清須会議という日本で初めて合議制で後継者を決めた会議が中心となります。

だから、大ロケをするというよりもセットを細かく組んで、その中で様々な人びとを描きます。

 本能寺の変で、信長が明智光秀に討たれた。

さて、その織田家の後継者は、その後見人となり実質、政権を握るのは誰か?

家老が清須城に集まり、会議で決めようということになる。

筆頭家老の柴田勝家(役所広司)と羽柴秀吉(大泉洋)が名乗りをあげる。

そしてそれぞれが、柴田勝家は信長の三男で、武勇に秀でている信孝(坂東巳之助)を推すが、人格としてはいいものの出自がいまひとつ。

羽柴秀吉は、次男の信雄(妻夫木聡)を推すことにしますが、これが大うつけ・・・というよりおばかである。

 結局、多数決ですから、なんとか他の家老たちを自分の味方に引き入れようと、水面下でのやりとりが始まります。

台詞は現代語が中心になっていて、昔はもっと違う話し方をしたのでしょうが、そこはただでさえ複雑な人間関係。

わかりやすくするために現代語で最初から、三谷監督は原作を書いていました。

 野心に燃えているのは実は、羽柴秀吉と信長の妹、お市の方(鈴木京香)ではなかったでしょうか。

お市の方は夫と息子を殺された怨みで、とにかく秀吉不利に持ち込もうと策略を練るという風になっています。

しかし、美しいお市の方に柴田勝家も羽柴秀吉も・・・できることならお市の方を奥方にして・・・という下心を持っている。

そんなの女はすぐわかりますね。そこをお市の方は突いてくるのです。

鈴木京香、よかったですよ、お市の方。この人が出てくると局面が転換するから。

白粉で固めた顔の下は般若でしょう?という女の怖さを出していましたね。

 家老、それぞれに柴田勝家には前田利家(浅野忠信)、羽柴秀吉には軍師の黒田勘兵衛(寺島進)がついて入れ知恵をする。

大局を見る、先を考える事ができるのは、羽柴秀吉でしょうが、実は信長の弟、三十郎信包(伊勢谷友介)が秀吉に「いずれは、織田の家をすべて滅ぼすつもりだろう、そして天下人となるつもりだろう」と真実を突く。

一番頭いいのは、実は三十郎だったのではないかな。野心家ではないけれど、頭がいい、という役。

 これだけの人を動かして、観ている側への流れの説明のうまさ、脱力ものの、大うつけ役を妻夫木聡が嬉しそうにやっていて、時にお調子者として人の心をつかむのが上手い秀吉すら、がっくり・・・なんて息抜きもちゃんとあって、実に上手くそつなく作られた娯楽時代劇。安心して楽しく観られます。

*******追記*****

後に大泉洋さんがインタビューで、この映画に出演する際、監督から「大泉くん、もっと小さくなれない?」と言われたと言っていました。

確かに、小柄、といわれる秀吉ですが、大泉洋さんは意外と長身なんです。でも、小さくなれない?って・・・


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