砂漠でサーモン・フィッシング
SALMON FISHING IN THE YEMEN
2013年11月26日 DVD
(2011年:イギリス:108分:監督 ラッセ・ハルストレム)
原作はポール・トーディの『イエメンで鮭釣りを』ですが、原作の忠実な映画化というのは無理で、基本設定だけ持ってきて別の話となっていました。
原作通りにやったらとんでもなく、毒や風刺のきついものになるのがとってもマイルドで映像はとてもクリア。
映画観てから、原作読むと驚くかもしれないけれど、原作読んで、映画を観ると「なるほど、こうなりましたか」みたいな感慨がありますなぁ。
原作と違うからといって目くじら立てるのは野暮ってもんで、アルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)に持ち込まれた
「イエメンで鮭釣りプロジェクト」
そのプロジェクトは、一見無謀そうに思えるけれど、スポンサーはイエメンの謎の大富豪、シャリフで金はいくらかかってもかまわない。
最初は「金を捨てたければ、サッカーチームを持てばいい」とけんもほろろなジョーンズ博士ですが・・・
だんだんプロジェクトにも、関わる人にも愛着がわいてくる、というほのぼの路線になっていました。
これはこれでいいのであって、ユアン・マクレガーはもう若くはないけれど、そう年寄りでもない・・・という微妙な中年男のココロのゆれを演じていました。
可笑しいのは、政府の広報官(クリスティン・スコット・トーマス)。
ばりばりのキャリア・ウーマンでとにかく英国の宣伝になるためには手段は選びませんのよ!わかった?と迫力。
一番、原作に近い人物はこの政府広報官でしょうね。
なんとも世間の事には疎いけれど、誠実なジョーンズ博士。
イエメンで鮭釣りなんて、金持の無駄遣いのように見えて、信念があるシャリフ。
なんとか英国の見栄えをよくしようとやらせでもなんでもやります、英国政府。
ロンドンとスコットランドとモロッコでロケされているのですが、鮭釣りをするシーン、スコットランドの風景がそれはそれはきれいです。
緑と水と山と・・・映画では、そんな「イエメンにないもの」を金かけて、夢かけようとする人びととなっていました。
ラッセ・ハルストレム監督は、ハリウッドに行ってしまったのね、しくしく・・・と思っていたらイギリス映画も撮っていて、職人監督になってきました。
ただ、私は原作を読んだ時の衝撃が大きくて、内容変えまくった映画版よりも原作を読む事をおすすめしたいです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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