ミッドナイト・イン・パリ

ミッドナイト・イン・パリ

Midnight in Paris

2013年11月30日 DVD

(2012年:アメリカ=スペイン:94分:監督 ウッディ・アレン)

 ウディ・アレン監督の映画の中では一番のヒット映画だそうで、え~そうですか?『アニー・ホール』とかじゃないんですかぁ・・・って

あまりわたしはウッディ・アレン監督の映画のファンではないのであった。

ウッディ・アレン監督の映画は大体90分くらいで収まるのはうれしいのですが。

 アイディアが小粋なんですよね。冒頭、パリの絵ハガキのような町並の風景が映って、観光映画かなと思ってしまったのですが、映画が始まってみるとなかなかビターな部分が多いのでした。

ハリウッドで脚本を書いているギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者と一緒その両親と共にパリに来ました。

婚約者の両親は実業家で、娘である婚約者も美しくて頭がいいが、ブンガク志向のギルとはなんとなくぎくしゃくしています。

 パリに憧れてここで小説が書けたら・・・と夢みるギルを傍目に、旅行者ばりばりで結婚後の買物やパーティに血眼になるアメリカ人一家。

そこがウッディ・アレンにかかるととっても、わかりやすい俗っぽさです。

また、ソルボンヌ大学の講師で来たという男も婚約者の友人でこのエセ・インテリぶりっていうのもこてんぱんに描いていますね。

 しかし、周りについていけず1人で夜、ホテルに帰る途中、道に迷い・・・時計が12時の鐘を打った時、古風なプジョーが現れる。

誘われるままについていくと・・・・・なんとそこは1920年代のパリ。

ジャン・コクトー主催のパーティに退屈しているスコット・フィッツジェラルド夫妻、そして出会うヘミングウェイ、T・S・エリオット、ピカソ、ダリ、マティス、ルイス・ブニュエル、マン・レイ・・・・1920年代、パリに集まっていた芸術家集団に出会って最初は驚くものの

ピカソの愛人、アドリアナに惹かれていきます。

 昔は良かった・・・と古き良き時代に現実逃避をついしてしまう時があるけれど、ギルは気がつくのです。

1920年代の人びとも「現代」よりも「過去」がよかった・・・と思っていることを。

つい現実逃避をして、夢見がちになってしまったギルですが、その夢を打ち砕くのは、21世紀の現実的な婚約者だけではありません。

そこが、この映画のいいところなんですね。

過去はまたその過去があって現代がある。昔はよかった・・・と簡単に言えるけれど、もう引き返せない。先に進むしかない。

ギルがそう悟る物語でありました。

 映画はパリの雨で終わります。雨なんか濡れるだけだから、早く帰りましょ、ではなく、パリの雨は素敵。濡れて行くのも素敵、と一緒に共感できる出会い。そんなほのぼのさが最後にあって、今までの毒のようなものはやや控えめになっていて観やすい映画です。

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