鍵泥棒のメソッド
2013年12月8日 DVD
(2012年:日本:128分:監督、脚本 内田ゆうじ)
登場人物は3人。
冒頭、鮮やかな手口で殺人。そして逃走する殺し屋、コンドウ(香川照之)
自殺しようにも失敗し、金もない、仕事もない、しがない役者志望の35歳、桜井(堺雅人)
相手がまだ決まっていないのに結婚の段取りを勝手に決めている女性編集長、水嶋(末広涼子)
コンドウが手が汚れてしまったために銭湯に行き、桜井が盗もうとして取り落とした石けんに足をすべらせて転倒。
気絶しているのをよい事にこっそり銭湯の鍵を自分のと取り替える桜井。桜井はコンドウのロッカーからすべてを持ち出す。
記憶をすっかりなくしてしまったコンドウは、自分が桜井であると思い込む。
そんな桜井であると思い込んでいるコンドウと病院でであう水嶋。
これはほんの出だしで映画はゴロゴロゴロゴロと転がっていき、一分先がわからないというスリリングさ。
内田ゆうじ監督は本当にこういうコン・ゲームのような映画の脚本が上手い。
『運命じゃない人』では時間軸を自由に映画ならではの手法で使い回し、『アフター・スクール』では大人の本当の嘘とは?ということに
翻弄される人びとを細かく描き、わたしの好きな映画です。
伏線とか小物使いの上手さって意外と日本映画にはなくて、昔のビリー・ワイルダー監督の映画のように上手く使いこなしています。
あまり詳しい事書くのは野暮な映画の類なので、3人の出会いだけ書く事にしますが、3人の性格を表すのに台詞だけでなく
几帳面さや字の丁寧さ、部屋のインテリアなどできちんと「見せる」
きちんと「見せる」って映画では大切なことだ、というのが内田監督のよいところだと思います。
立場が逆転して、また逆転して、反転して、意外な方向へ・・・よく出来た脚本ですよね。
また、演じた3人も良かったですね。堺雅人のびびり方って一流だし、香川照之の演じ分けも見事。
広末涼子のちょっと「わかってない」感じもこの映画では浮いていなかったし。
水嶋はまだ見ぬ結婚相手は「健康で、努力する人」という条件を出しますが、こうやってみると健康で努力する、って事が
大切なのね、ってわかります。
個人的にはテレビ局が大々的にお金を出していない『アフター・スクール』をもう一度、見直したい気分。
*****追記******
この映画の他、内田けんじ監督の映画は、後に配信で全て見直しています。
いつ観ても面白い、こういうアイディアと脚本のいい映画は最高!
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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