イングリシュ・ペイシェント

イングリシュ・ペイシェント

The English Patient

2013年12月25日 DVD

(1996年:アメリカ:162分:監督、脚本 アンソニー・ミンゲラ)

 なんか製作陣も出演陣も豪華であり、イタリアとチュニジアでオールロケ、結果としてアカデミー賞をはじめ色々な賞をとった恋愛巨編。

162分もあるんですよ。製作は大好きな映画『アマデウス』のソウル・ゼインツ、原作はブッカー賞を受賞したマイケル・オンダーチェの『イギリス人の患者』、出演はレイフ・ファインズ、ジュリエット・ビノシュ、クリスティン・スコット・トーマス、ウィレム・デフォー、

コリン・ファース・・・あらまぁ、すごい。

激しい恋の物語であり、戦争の物語であり、人種問題に触れた部分あり、でこの製作陣、キャスト・・・でも、わたしは結構、淡々と観てしまいました。

 第二次世界大戦末期。イタリアで飛行機事故で全身にやけどを負い、自分の名前すらわからない、記憶をなくした男が病院に運ばれる。

英語を話す事から「イギリス人の患者(イングリッシュ・ペイシェント)」と呼ばれることに。

従軍看護婦をしているハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、この男につきそい、イタリアの修道院で静養をとることにする。

そこに現れる謎の男、カラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)

 だんだん男は記憶を取り戻し、時間は逆戻りする。

エジプトの砂漠で地図作りをしている、英国地理学会のアルマシー(レイフ・ファインズ)

そこに、スポンサーである、ジェフリー(コリン・ファース)とキャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)夫妻が訪れる。

砂漠の研究者でもあり、美しいキャサリンにあっという間に惹かれてしまうアルマシー。

夫が不在の間に2人は愛しあうようになりますが・・・・戦争が始まり、洞窟探検や地図作りどころではなくなる。

 チュニジアでロケと聞いて、わたしはもう『スターウォーズ エピソード4』を思い出しましたね。

映画が好きになりはじめた頃、砂漠=チュニジアだった中学生の頭ン中。

砂漠の風景が、美しいと同時に洞窟に「泳ぐ人」が描かれているのを発見したアルマニーたちになぞらせるかのように、

砂漠の砂はまるで海の波のようです。

 さて、ハナに語って聞かせる男の記憶通りに映画が進むので時間軸はあっちいったり、こっちいったりしますが

あまり混乱はしません。そういうところはじっくりと手をつくしている感じがします。

と、同時になんか手をつくしている割にはあっけないところはあっけなく、さらっと飛ばしています。

それが、唐突で、例えば、アルマシーとキャサリンが愛し合うようになる瞬間、ハナが「男」をつきっきりで看病しようと決心する動機など、あら?と思うくらいあっけないのです。

 重厚な悲劇でもあるのですが、どこかしらあっけないのは「思い出話をする」という二重構造になっているからかもしれません。

この映画では、色々な国の人が出てきます。アルマシーはハンガリー出身、キャサリンはイギリス人、ハナはフランス人、カラヴァッジョはカナダ人・・・という風になっています。

戦争が始まって、祖国愛というか各人の祖国への思い入れが強くなるのを、アルマシーは「人種の違いがなんだと言うんだ。

地図の上の国境線なんて意味がない」というような事を言う。

 あまり複雑な話ではないのですが、人種ということになるとえらく複雑ですね。

イギリスや他のヨーロッパ諸国の植民地問題まで触れていますから。

レイフ・ファインズは、砂漠の中を探検して歩くお堅い男から、恋する男に大変身なんて嫌味にならないのはさすが。

そして、ジュリエット・ビノシュが冷たいのではなく、非常に冷静なところもいいです。

謎の男、ウィレム・デフォーは映す角度によってその顔ががらり、とかわる変幻自在の役者さんで大好きです。

 それでも、この映画の「熱愛」ぶりはどうも入り込めなかったのは、観ているわたしがもう恋愛ものは興味ないからでしょう。

もう、恋に恋する恋心で観れば、涙うるうるかもよ~なんて思ったりする時点で、ほら、もう、醒めてるでしょう。

まぁ、フランソワ・トリュフォー監督の壮絶な美しい失恋しているのに恋の物語『アデルの恋の物語』のあとに観てしまったのがまずかったかも。

決してこの映画がよくない、とは思わないのですね。むしろ、よく出来た映画だと感心するのです。

映画の余韻をひきずっているうちに次の映画に手を出してはいけないなぁ、とひとり頭をポリポリ。

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