鬼畜
2004年1月3日 DVD
(1978年:日本:110分:監督 野村芳太郎)
『砂の器』と同じく原作 松本清張、野村芳太郎監督映画。
実在の事件をベースにした、というところが社会派、松本清張らしいですが、映画は、重い余韻を残します。
親子だから、といって、いつでも仲がいい訳ではなく、親と子とは?ということを問い詰めています。
印刷工場を営む宗吉(緒方拳)は、ちょっと景気がいいときに料理屋の仲居、菊代(小川真由美)を妾にします。
しかし、印刷工場は景気が悪くなる。
妾ながらも、3人の子どもを作った菊代は、仕送りがないので、とうとう宗吉の工場に乗り込む。
妻、お梅(岩下志麻)は当然、怒ります。
どうにかしてよっ、と迫る菊代に頭が上がらず、身から出た錆でしょう、と怒る妻にも頭が上がらない宗吉。
しかし、菊代はまだまだ幼い子ども3人を残して蒸発してしまう。
残された子どもを敵視する、お梅。
その間に立たされて、あたふたする宗吉。
だんだん宗吉とお梅は、3人の子どもが邪魔になってきます。
そして、親としての責任を放棄しようと画策しはじめる。
もうね、冒頭の小川真由美と岩下志麻の壮絶な戦いにあっけにとられてしまうのね。
どちらも、きれいどころの役ではないのですが、もう、鬼のような演技合戦にひーーーーーーー。
それをじっと見ている子どもたち。一番下は、まだ一歳半で、長女は4歳だから、訳わからないけれど、6歳の長男は
薄々何が起きているのかわかってしまうのです。
とうとう、もう子どもは・・・となるときに、長男はどう出るのか。
だんだん、迫ってくる親子対決。
松本清張らしく、ちょっとしたことから、警察にわかってしまうのですが、それでも親と子の問題は警察(他人)の口ははさめないのです。
宗吉を演じた緒方拳の汗がすぐでてしまう、悪人(鬼畜)になりきれない様子なんか、もう、はらはらしますね。
さすが、松本清張の世界はただのハッピーエンドにも、後味の悪いものにもしていません。
きちんとした社会への目というのがある。
この映画は昭和53年なのですが、当時の東京の様子、東京タワー、上野、新宿・・・と今とやはり違う東京で、
今見るとこの映画に出てくる東京は、わたしが中学生の時の東京です。
古いというより、変わったもの、変わらないもの・・・逆に新鮮な発見がある風景です。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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