突然、炎のごとく
JULES ET JIM
2014年1月12日 ビデオ
(1961年:フランス:106分:監督 フランソワ・トリュフォー)
原題は「ジュールとジム」なのですが、この映画のタイトルを『突然、炎のごとく』としたのはセンスありますね。
最後まで観るとわかる、日本語タイトルのセンス。
フランソワ・トリュフォー監督、長編3作目で、ずっと観たいと思っていたのですが、なかなか機会がなく、
今回、図書館でVHSビデオを借りてようやく観ることができました。
ストーリーは簡単なんです。
第一次世界大戦前、パリでフランス人のジムとドイツ人のジュールという青年が出会い、文学や美術など趣味があい意気投合。
そして「アドリア海にある美しい彫像」のような微笑をたたえる女性、カトリーヌ(ジャンヌ・モロー)と出会う。
3人は仲良くなって、文学・芸術論をしたり、酒を飲んだり楽しく過ごしますが、ジュールとカトリーヌが結婚する。
しかし、時を経て、再会したときは子供がもういるものの、ジュールとカトリーヌは冷たい関係となり、
ジュールがジムに頼むのです。「カトリーヌと結婚してくれ」と。
恋多き女でもあり、真面目でもある、しかしとても気まぐれなカトリーヌもジムに結婚を持ちかけます。
不思議な3人の共同生活。しかし、そんな関係も突然、終わりを告げる。
『アデルの恋の物語』もアデルは恋はしているけれど、実は困った人なのですが、とことん美しい。
同じように、気まぐれで、勝ち気で、情熱的なカトリーヌを演じたジャンヌ・モローも負けじととことん美しい。
しかし、原題はあくまでも「ジュールとジム」なのであって、そこにカトリーヌの名はありません。
ジュールとジムは、カトリーヌをはさみながらも、実に冷静に話し合いをするんですね。
カトリーヌの魅力、そして危うさ、無謀さ・・・そんなものを夫であるジュールが冷静に受け止めて、
ジムとの再婚を勧めるのです。
しかし、カトリーヌの気まぐれで話はとんとんとは進まない。しかし、ジュールとジムは決して仲違いしないのですね。
第一次世界大戦が始まって、敵国同士になってしまってもその友情は固い。
普通の人がやってしまったらとんでもない泥沼なのに、この映画は臭みが全くなくすがすがしいくらいです。
言い合ったとしても、すぐにお互い、自分の非を認め、許し合う姿が何度もありますが、そこにいつも風が吹いているよう。
カトリーヌの魅力もたっぷりですが、弱点もたっぷりと見せるのですが、その描き方が醜くないんですね。
これまた、いっそすがすがしいくらい、カトリーヌは魅力的。
普通だったら愛憎泥沼劇に堕ちてしまうところを高尚な崇高なすがすがしさの高味においてみせるからこそ
トリュフォー監督の恋愛映画は、只者ではない、ってところでしょうか。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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