風の中の子供
2014年1月16日 DVD
(1937年:日本:87分:監督 清水宏)
清水宏監督が坪田譲治の児童文学を原作にしたもので、この話は調べたら後に映画になったり、テレビドラマ化されたり
していました。その一番最初がこの1937年の映画です。
1937年というと日本ではもう戦時色が強くなってきた時期ですけれども、『簪』もそうでしたが清水宏監督は戦時色を出すことはせず、
子供の世界をイキイキと描くことに専念しています。
善太と三平兄弟ものというのはたくさんあるそうですが、この映画では、会社の社長をしていた父がいきなり私文書偽造で
逮捕され、家は急に没落してしまう。
母は働きに出て、まだ小さい弟の三平が里子に出されますが上手くいかない。
しかし、父の疑いも晴れて、無事、一家が元通りになるまでです。
最初に兄に比べて、弟のお勉強の出来が悪い・・・というのが通信簿で「乙」ばかり・・とお母さんが嘆くところで
わかりますが、三平は近所の子供たちのガキ大将です。
とにかく、いつでも子どもがわらわら、いっぱいいる映画で、これぞ子ども映画でしょう。
流行の遊びと言えばターザンごっこ。
しかし、父が逮捕されてしまうと子分だった子どもたちが皆、三平から離れてしまう。
わらわらと集まる子どもの多さとおおらかさとそして、そんな中にある群集心理が子どもにもきちんとあるのだ、ということから
目をそらしていません。
子どもだから純真という簡単なくくりはなくて、噂話にすぐに左右されるのも子どもです。
大人たちも、子どもをしっしと追い払いながらも同居している、という感じです。
アンドレイ・タルコフスキー監督の『ローラーとバイオリン』でも、アパートの周りにいつも子どもが群れて遊んでいて
大人がいちいち子どもの世界に口をはさみません。
今の子どもが少なくなってしまった時代から見ると子どもをほったらかしにしているようですが、子どもは子どもでちゃんと「社会」を作るんですね。
そのことがよくわかる映画。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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