袋小路

袋小路

Cul-de-sac

2014年1月19日 DVD

(1966年:イギリス:102分:監督 ロマン・ポランスキー)

 考えてみればわたしはあまりロマン・ポランスキー監督の映画を観ていませんでした。

この映画でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞。

 イギリスの離れ小島の城を買い取って暮らす夫婦。ジョージ(ドナルド・プレザンス)とフランス人の妻、テレサ(フラスソワース・ドルレアック)

ジョージはどうやら全財産をなげうってこの孤島の城を買い取って働かないで過ごしている。

妻はまだ若く自由奔放で、こういう孤島よりも都会の華やかな浮ついた生活の方があっているらしく、なんだか不満げです。

もう、若い男と浮気したりしています。それでも、ジョージは若い妻に頭が上がらない。

 そんな所に、仕事に失敗して逃げてきたギャング2人が現れる。

島は海に囲まれていますが、潮が引いた時は車が通れるのです。1人のギャングはもう腹を撃たれて瀕死状態。

もう1人のギャング、リチャード(ライオネル・スタンダー)は、夫婦を銃で脅かし、城で仲間を待つことに・・・

しかし、なかなか現れない仲間。

しかも、リチャードの知り合いたちが遊びに来たりして、急遽、ギャングのリチャードは庭師のふりをしたりする。

 この映画は立場の映画です。

城で静かに暮らしたいという中年男の夫。

そんな生活に退屈している若い妻。

いらいらとしながら仲間を待つギャング。

この3人の立場がころころ変わります。

銃を持っているギャングのリチャードが優位に立つこともあれば、いつもふてくされているような妻が夫を小馬鹿にして

優位に立ったり、客人が来ればまた立場が変わり、帰ればまた立場が変わる。

 自分はこういう立場の人間だ、とはっきり言える人って意外と少ないかもしれません。

社長とか肩書きがあれば、また別かもしれませんが、この映画では立場が曖昧で、結局、調子のいい妻、テレサが

主導権を握るようでいて、したたかでもありますから、いざとなるとするりと責任を夫になすりつけたりします。

 男たちはまだいいのですが、とことんこの若い妻がずるいというか、顔はきれいかもしれないけれど

なんとも自分の事しか考えてないという、したたかで自己中心的な性格がくっきり浮き彫りになっているのね。

潮の満ち引きで、陸とつながったり、断絶されたりする小さな島の城に住む、というちょっとステキな生活も

実際の生活はとんでもなく不便です。

それでも夢見る夫と現実的な妻。そのすれ違いを引き出してしまうギャングの存在。

この映画は島から一歩も外に出ません。キレイな風景なんだけれどもなんとも孤独をよく現した風景です。 

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