ジャッジ!

ジャッジ!

2014年1月22日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて

(2014年:日本:105分:監督 永井聡)

 家にテレビがある人ならば、テレビコマーシャルというものを見ているはずでしょう。

見る、見ない番組は選べるにしてもコマーシャルはどうしても目に入ってしまう。

なんとなく流してしまうコマーシャルというものをしっかり見ていたのはナンシー関だったと思う。

15秒の世界をきちんと受け止めていたのがナンシー関。

 この映画は大手広告代理店のCM作りにかける人びとと、CMの世界広告祭の裏側を描く、コメディ映画です。

脚本を書いたのは、有名なCMをたくさん手がけて、賞もとっている澤本嘉光で、実際、電通の社員だそうです。へぇ~

 まだ若くて下働きの大田喜一郎(妻夫木聡)は、上司の大滝一郎(豊川悦司)から無理矢理、国際広告映画祭の審査員にされてしまう。

本来だったら、自信をもって自分の作ったCMを広告祭に出すところなのでしょうが、そこはスポンサー、お客様ありきの

広告代理店。大手取引先のどうしようもないちくわのCMをグランプリにしないとクビになることになり、いいかげんな上司は名前が似ているから

というだけで、失敗を押しつける。

人がいいだけで、逆に言えばバカ正直な大田は、同期の仕事はできるがギャンブル好きで態度が大きい同じ名字の大田(北川景子)を

妻ということにして、アメリカのサンタモニカでの広告祭に行くことに。

 実際、広告祭に行ってみると、各国の審査員が自分の作ったCMに賞をとらせようと、根回しや水面下での駆け引き、

脅迫まがいのことまでしていわばもう、デキレース状態で、「いいCMが賞をとる」とは限らない現実をまざまざと見せつけられる大田。

そこには日本からライバル広告代理店の木沢はるか(鈴木京香)も自信作をひっさげて来ている。

 妻夫木聡と北川景子の若い2人の周りの人びとがうさんくさくて良かったですね。

広告祭での英語を教える、という謎の鏡さんをリリー・フランキー、ブラジルからのクリエイターの日系人を荒川良々、

神経質そうでいいかげんな上司の豊川悦司。各国の審査員もなかなかのクセモノぞろい。

 真実50%、フィクション70%で、100%にした、という脚本の言葉を借りれば、これが広告代理店だ、とはさすがに思わない

けれど、そこを上手く映画にした脚本が上手いですね。

大田は結局、クビ覚悟で、「自分が本当にいいと思うCM」に票を入れる。しかし、大逆転。

伏線の張り方や、小物使いが上手くできていて、テンポのいい会話に脱力ものの会話を織り交ぜた上手さを感じます。

 実際の賞ってこんなものかもしれませんね。下で金や欲が動いていて、正直ものはバカを見るのかもしれません。

この広告祭は、色々な根回しがはびこっているのですが、ひとつだけ鉄則があります。

それは「自分の作ったCMを公然と審査の場で推薦したら、失格」

 荒川良々の日本語も可笑しいし、(「はじめまして。ひさしぶりです。」など当然だが英語は流暢)意外なキーパーソン、リリー・フランキーも

ふざけているようで実は効果的で実用的な事を大田に伝授する。

この映画、観ている間は楽しく観られるけれど、観た後、さっぱり何も残らない映画でもあるなぁ。そういう娯楽映画です。 

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