スラムドッグ$ミリオネア
Slumdog Millionaire
2014年2月2日 DVD
(2008年:イギリス:120分:監督 ダニー・ボイル)
ここ数年、宝くじを買って、もし1等当たったらと夢想しては惨敗に終わっています。
苦労して財を成すのではなく、運だけでそんな甘い事はないですよね。
普段、運とか縁とか信じていないのに宝くじだけいい思いをしようなんて心構えがまずダメなんです。
昔ほどではないけれどクイズ番組の賞金っていうのも夢想しました。しかし、クイズが得意分野でないとダメなんですよね。
この映画は、インドのスラム街育ちで学校も行っていない18歳の青年、ジャマールが人気クイズ番組、「クイズ・ミリオネア」で
驚異の回答率を上げ、問題も難題になっていくけれど、賞金もつり上がっていく・・・最高賞金額は2000万ルピー。
しかし、1000万ルピーまで賞金が上がったところで、警察につかまってしまうところから始まります。
スラム街育ちで学校も行っていない、今は携帯電話のオペレーター会社でお茶くみの仕事をしているだけの青年が
こんなに回答できるはずがない、詐欺だろう、インチキをしているのだろうという思い込みからの逮捕でした。
警察に聞かれて自分の過去を話す事になるジャマール。
スラム街で生れ、母を宗教暴動でなくし、兄と2人でサバイバル生活をしていくうちに色々な経験から
ジャマールは「物知り」になっていたのです。学校では教わらない事もどんどん兄弟の身に降りかかってくる。
時には、盗みをし、物乞いをし、逃げまくり・・・それでも生き抜く幼い兄弟。同じ境遇の少女、ラティカとの出会いと別れ。
そして、違った道を行くようになる兄弟。
それがクイズ番組の問題に沿うように描かれます。
ジャマールにとっては、問題は簡単というより、思い出したくない過去とどうしてもリンクしてしまう事ばかり。
何故、100米ドル紙幣の肖像がベンジャミン・フランクリンか知っているか、ということも厳しい環境からの経験です。
ダニー・ボイル監督はもともと甘い映画は撮りませんので、インドのスラム街のシビアな生活をリアリティを大事にして
撮っていますが、それだけではない、クイズの行方、ラティカという少女との恋愛の行方など絡ませ方がとても上手いし
最後の20分は特にその色々な要素を実に上手くさばいていて、目が離せません。
ジャマールは特に天才という訳ではないのです。真面目で聡明、誠実。これは運命としかいいようのないもの。
そして強いのは、机上の知識よりも経験なのだ、ということも。
確かに、厳しいスラム街の生活だけれども現実から目をそらさず描きながらも、娯楽要素もたっぷりと盛り込んだ力作です。
特に幼少時代の兄弟は、もうもう幼児虐待かと思うくらいすごいのですが、映画は手を緩めない。
これが現実なのだ、ということを見せつつ、テレビ業界の裏側や映画というフィクションの世界も同時に描いていきます。
最後の最後に嬉しそうに踊る幼いジャマールとラティカに本当に感動できるのは、前半の厳しさあっての事です。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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