ル・アーヴルの靴みがき

ル・アーヴルの靴みがき

Le Havre

2014年2月6日 DVD

(2011年:フィンランド=フランス=ドイツ:93分:監督、脚本 アキ・カウリスマキ)

 『街のあかり』(2005年)以来のアキちゃんことアキ・カウリスマキ監督の新作だそうです。

もう、アキちゃんの作る映画、素っ気なくて、若者美男美女は全く出てこないけれどその淡々とした素っ気なさの中にある

心温まるものは相変わらずです。

 今回の舞台となるのはフランス。ル・アーヴルという港町です。

そこで靴磨きをしている老人、マルセル。マルセルは貧しいけれど、精神的に豊かな生活を送っています。

不満を持つわけでなく、妻を大事にし、愛犬、ライカも可愛がっている。

同僚の靴みがきは、ベトナム人のチャング。

 よく映画で「白人しかでてこない」という映画があるのですが、この映画は実にたくさんの人種の人びとが出てきます。

そして、コンテナから発見されたアフリカからの難民の少年を匿うことになる。

同時に妻が難病で入院してしまう。

 何故、マルセルがアフリカ人の少年を匿うのか、その理由は語られません。

弱者が弱者を守る、という物語で劇的な感動を作り出すことはありません。

あくまでも、これが当然のことだから・・・とマルセルは少年を匿い、入院中の妻を見舞う。

少年がロンドンに行きたいとなると、チャリティーコンサートをひらいて、資金集め。

 リトル・ボブという高齢だが現役のロックンローラーは最初、出ない、という。奥さんとけんかしているから。

そこでマルセルは奥さんをリトル・ボブのところへ連れていく。

そうすると、リトル・ボブは奥さんの顔を見るだけで、もうめろめろになる、なんてところを素っ気なく映す。

普通ね、色々と根回ししたり、やりとりが延々と続いたりするところ、「顔をあわせるだけ」の一瞬で描いてしまっていますね。

 アキちゃんの映画に欠かせないもの・・・それは、まずそうな、質素な食事と犬です。

料理を出さないのではなく、結構、食べるシーンはあるのですが、その料理がまずそうなんですね。

そして、ライカという犬も何もしないのだけれども画面に出てくるだけで、ほのぼのとする。

美味しそうな食べ物、感動、喜怒哀楽・・・そんなものを一切「素っ気ない」で描くことができるのはアキちゃんだけです。

 難民の少年は警察に追われているけれど、それを密告するのが隣人で、その役をジャン=ピエール・レオがやっていました。

『コントラクト・キラー』で主役を演じたのですが、仏頂面は相変わらずでそれもなんともいえないユーモラスな雰囲気を

醸し出しています。

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