海月姫

海月姫

2015年1月22日

TOHOシネマズ 錦糸町にて

(2014年:日本:126分:監督 川村泰祐)

 しばらく映画に行かなくて、ふと、50代になって見回したら、映画はアニメ、漫画原作、ベストセラー原作がほとんどを占めていて、個性的な映画オリジナル脚本は目につかず、どうも自分が観るには「幼すぎる」映画が多くなってきたって思いました。はい。

かといって、何もかもダメになってしまったか、というとこの『海月姫』のように漫画が原作で、今も連載中というものでも十分楽しめる映画もあるんです。

この映画を観ようと思ったのは、メインの映画館が渋谷のシネクイントだったからです。ああ、シネクイントものにはずれなし、の法則というのが密かにあるのを思い出して、急に観る気になったのです。

 漫画原作でも、ベストセラー小説原作でも、大事なのは脚本。原作通りに全ては無理なのだからどこまではしょれるか、みたいなものと中途半端にリアリティを出そうとせず、なりきりキャストになりきり演技というのが私の好みです。やるんだったらとことんやる、みたいな。

 そういう点、この『海月姫』はやりつくした感度高いと思います。

オタクと言われる女子が集まるアパートの住人、くらげオタクの倉下海月(能年玲奈)はいくらださいファッションをしていてもかわいい事はかわいいのですが、おどおどとしたしゃべり方、または極度に緊張したときの固まりぶりが上手いですね。ただのかわいこちゃんではない度量を感じます。

 そんなクラゲオタクの海月(みつきと読む)がであった、女装美男子の鯉淵蔵之助(菅田将暉)。

最初は女だと思って、部屋に泊めてあげるのですが、実は男。アパートは男子禁制なので、あくまでも女性の蔵子としてアパートの住人たちと意気投合する。

この菅田将暉くんの女装が半端じゃなく力入ってますね。本当に女装すると美しいし、出てくる度にお洋服やかつらが変り、そのなりきりぶりは、クラゲをモチーフにしたファッション作りからファッションショーへという、ファッション映画でもあり、菅田将暉くんのモデル・ウォークは相当なもの。

 地味な眼鏡の女の子が眼鏡をとると可愛くて、目の前に現れる男子が大臣の息子というシンデレラ・ストーリーであって、真新しい事って実はそんなになかったかもしれない。それでもこの映画は、オタク女子たちも女装もなりきりぶりが脇役にまできちんと筋通っていて、観ていて気持いいのでした。 

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