ビッグ・アイズ

ビッグ・アイズ

BIG EYES

2014年2月8日 TOHOシネマズ有楽座にて

(2014年:アメリカ:106分:監督 ティム・バートン)

 近年、気まぐれ気味になってしまった映画鑑賞ですが、また、じわじわ映画熱が出たのはこのティム・バートン監督の新作に

興味がわいたからなのですが、アメリカでは有名な話でも日本ではいまひとつ、俳優さんも日本での知名度は今ひとつ、ということで

シネコンで公開されても一週間で上映時間が少なくなってしまいました。

しかも昔のニュー東宝シネマ、後の有楽座、今のTOHOシネマズ有楽座が2月いっぱいで閉館となり最後の上映がこの作品だそうで、

わたしが生まれる前からの映画館がまたひとつなくなってしまって寂しい限り。

 さて、映画は1950年代~60年代、アメリカで人気だったポップ・アート「BIG EYES」哀しげな表情をした目の大きな子どもの

イラスト絵の作者が、実はその妻だった、という実話を映画化。

ティム・バートン監督の子ども時代に大人気の絵だったそうで、監督自身も何枚か絵を持っているそうです。

 1950年代はまだまだアメリカでも男社会だった、とあるように、離婚してマーガレット(エイミー・アダムス)が娘を連れて家から

飛び出しても働く場所はない。似顔絵描きをしている所でであった男、ウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)は

自称、パリに住んでいた画家で、風景画を売っていました。出会った2人は結婚。

しかし、ウォルターはマーガレットの描いた子どもの絵を自分が描いた、と言って売り出し、しかも、原画を高い値段で売るのではなく

ポスターやポストカードにする、という商法で大もうけする。

 人気が出れば出るほど、外に出られず、秘密にしなければならないエイミ-の存在。

ウォルターは、口が上手くて、売り込みが上手く、芸術性よりも金儲けに向いている人であり、妻のマーガレットは

芸術家肌なので、最初は成功に喜ぶのですが、だんだん、夫のウォルターが調子に乗り始めて暴走が止らなくなります。

 確かに、プールつきの大邸宅にも住めるようになった、しかし、マーガレットは秘密の存在。ウォルターとの

距離ができはじめる。

マーガレットの絵の才能とウォルターの商才。最初から妻を売り出せばよかったのに・・・・と今のわたしは思ってしまうの

ですが、実際、昔は女性の画家の絵は売れなかったらしいのです。仕方ない事だったのですが・・・とうとう、

どちらが本当の作家か、裁判にまで。

 ティム・バートン監督の映画には「完全に勘違いしているけれどわかってない男の人」というのがよく出て来ますが

あくまでも、作り話の中で作り話にうっとりしている男は滑稽だけれども、これ、実話なので最後まで観ると

なんかリアルな事だったのね、と怖くなってしまうのでした。

ファンタスティックな映画ではなく、むしろ、夫の妄想暴走が恐怖になるホラーみたいな要素が強いのですが、

わたしは知らなかったのですが、この夫、ウォルターの役でクリストフ・ヴァルツは「映画の中の嫌な男」に選ばれて

しまったそうです。あらら。確かに、調子の良さと表の顔と裏の顔の使い分けなんか真に迫っていて、マーガレットを

演じたエイミー・アダムスのだんだん思い詰めたような、憂鬱な表情と明暗分けたコントラストになっています。

 最後に、実在したウォルターは「あくまでも画家は自分」と死ぬまで言い続けたそうで、もう、妄想と現実の

区別つかなかった実在の人という感じで、ちょっと怖いのでした。 

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