チャイナタウン

チャイナタウン

Chinatown

2015年2月11日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて(第二回 新・午前十時の映画祭)

(1974年:アメリカ:130分:監督 ロマン・ポランスキー)

 TOHOシネマズで、一日一回、午前10時から過去の名作をリバイバル上映している企画があります。

DVDで借りれば、もっと安く観られる過去の映画ではありますが、なんといっても最高の音響で大スクリーンでの映画の

良さというのは、自宅のPCで観るしかない自分にとってはやはりのめり込み方が違うなぁ、と思います。

この映画だって、130分もあったのですね。全然、気になりませんでした。

 先日、本でレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』を読んだばかりで、時代設定も舞台設定も

よく似ていて、つい、こういう原作あったようなぁ、などと思ってしまったのすが、この映画はオリジナル脚本で、

アカデミー賞で脚本賞を受賞しています。

1930年代、ロスアンジェルス、私立探偵・・・暑い乾いた空気感とハードボイルドはよく似合う。

フィリップ・マーロウではなく、この映画ではジャック・ニコルソン演じる私立探偵ジェイク・ギテスが浮気調査をするところから

始まります。かつてはチャイナタウンで検事をやっていたのですが、今は私立探偵。事務所を持ち、秘書や部下もいる

一匹狼、フィリップ・マーロウ的ではない部分もありますが、年齢やタフさという点ではよく似ています。

 そこにまた浮気調査がやってくる。水道局長の妻から浮気の調査をして欲しいと。

どうも堅物で、真面目な人物で浮気なんかするようには見えないのですが、若い女性と会っている所を見つける。

しかし、その後が変なのです。依頼人に伝えるだけのはずが、何故か新聞のゴシップ欄に載ってしまい、妻から

名誉毀損で訴えられると言う。事務所を訪れた妻は、全くの別人、イブリン(フェイ・ダナウェイ)でした。

そんな矢先、水道局長が溺死体となって発見される。

どうやら、砂漠や干ばつ地帯の多いロスアンジェルスでの水利権をめぐる水面下の争いに巻き込まれてしまったようです。

 次々と現れる怪しい人物。どうにもすっきり話をしない人びと。ギテスは時に荒っぽい手を使って、コツコツと

調べ上げていく内に、美しい未亡人、イブリンに惹かれていくようになる。

 小物の使い方がとても凝っていて、ギテスの車のダッシュボードには鎖時計がたくさんあって、それは

見張る車のタイヤの下にこっそり置いて、いつ出発したかの証拠にするためだったりします。

ギテスは、若者とはいえないのですが、スーツ姿がジャック・ニコルソン、美しいのねぇ。生地のよい、仕立てのよい

身なりをしていて、何着スーツが出てくるか、そんな事を楽しみにしてしまいました。

皆、煙草を吸いますが、煙草をくわえる所作もさすがです。今の時代、煙草のシーンは本当に少ないから役者が下手なんですね。

 首をあまりつっこむなよ、とチンピラに鼻を切られてしまいますが、そのチンピラを演じたのがロマン・ポランスキー監督

自身で、少ししか出ないけれど、いつも鼻にガーゼをしている私立探偵という、ちょっとした味付けが憎い。

こういう物語は、勧善懲悪、すっきりという訳にはいかず、謎の美女には謎の過去があったりするんですが、

レトロな雰囲気を上手く出していて、ついつい2015年に1970年代の映画を観ているのを忘れ、気持はすっかり

1930年代のロスアンジェルスです。雰囲気がとても良い映画。やはりねぇ、リバイバルされるにはそれなりの内容があるのです。 

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