ニッポン無責任時代

ニッポン無責任時代

2015年2月21日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて(第二回 新・午前十時の映画祭)

(1962年:日本:86分:監督 古澤憲吾)

 私は1965年の古澤憲吾監督で、クレイジー・キャッツ結成10周年記念映画、『大冒険』が大好きなのですが、

この時代のクレイジー・キャッツの勢いがよくわかる映画ではあります。

『大冒険』は東宝史上最高の娯楽映画と言われています。

ただ、『大冒険』はばかばかしさ炸裂だったのに比べ、この映画はサラリーマンものですから、太平洋酒という

会社をめぐるサラリーマンのどたばた喜劇です。

 平均(たいら ひとし)が植木等の役名ですが、平均的サラリーマンどころか型破りなお調子者であると同時に

非常な策士でもあるんですね。太平洋酒の社長がハナ肇、総務部長が谷啓なんですが、結構、まともというか

普通なんです。そこに現れた口八丁手八丁の平均というサラリーマン。

いいかげんなようでいて、あの手この手を使いまくるのが、実にリズミカルでテンポがいいのです。(脚本、上手い)

話と話を上手くくっつけて、自分の得になるように画策し、時には危ない橋も渡りますが、「この世はタイミング、C調、無責任」と

歌いながら、植木等、なんだかんだいって丸く収めてしまう。

 今の時代には決して作れない映画だと思いますが、描かれているサラリーマンの実態って実は変わらないものが

多いんですね。

C調というのはサザン・オール・スターズが「C調言葉にご用心」って歌っていたので知っていましたが、今は使わないでしょうね。

太平洋酒という会社の乗っ取りをめぐるどたばたですが、ハナ肇の息子が若き日の峰岸徹だったりして。

結局、何もかも丸く収まるのですが、途中に描かれるサラリーマン悲哀もしっかり描かれていて、植木等は

「オレの嫌いな物は、人だのみとおせっかいな女」とさらりと言うように、無責任なようで、骨があるんですね。

今の時代は、責任感はあっても骨がない人、多いみたい・・・って自分にとほほ、だ。

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