風櫃の少年

風櫃の少年

The Boys from Fengkuei

2015年11月29日 有楽町朝日ホールにて(第16回東京フィルメックス)

(1983年:台湾:102分:監督 ホウシャウシェン)

 今まで観た映画のあらすじや感想をいわば自分の備忘録として書いていたのですが、最近、ネットなどであらすじを読んだだけで

「読んだ、観た気分になってしまう」という大変高慢で怠惰な風潮を感じているので、詳しいあらすじなどは書きません。

この映画を観て感じた事、それを書こうと思います。

映画や本は自分のお金と時間をかけて観た、読んだからこそ読んだになるのであって、怠惰はどうしても許せない(きっぱり)

 さて、この映画は1983年です。

日本はまだまだバブル景気に浮かれていた頃。

そういう時にこの映画は公開されなかったろうと思います。

今だからこそ、映画祭ではありますが、公開されて共感を得るのであろうと思います。

風櫃という台湾南部の島では、景気がいいとか、あまり関係ありません。一番近い都市は高雄で、さらに大都市、台北があります。

さて、この時代、私は何をしていたか?

学生から社会人になって、世の中浮かれていたけれど、仕事がきつくて泣いていた頃であります。

景気がいいときに忙しいのと景気が悪いときに忙しいのでは気分が違う、と後に言われた言葉でありますが、

私は仕事ではつらい思いをしていたけれど、飲み会とかも連日でそれなりに青春を謳歌していたのだと思います。

 いつの時代も同じなのですが、だからといってちやほやもてた訳ではなく、私は相変わらず私だったなぁ、と思う。

派手な事が苦手。人づきあいが苦手(それでも今に比べたらまだまだ夢があったか)将来にまだ不安は持っていなかったと

思います。

 そしてもう老後を感じる、考える年になってみると、この映画は実に先を読んでいたのですね。

いつか来る不安。若くてもなんとなく感じる将来への不安。そんなものが描かれていました。

 若い時に観るのと今の年になってみるのでは多いに違うのですが、それは受取手の問題で映画は以前として映画として

あるわけです。

それを今、こうして観て、驚く訳ですね。こんなに「不安」に満ちた若者像だったと。

主人公たちがたまたまもぐりこむ映画館では、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『若者たち』が上映されている、と言う点だけでも

すごく「若者の不安」を描いているといいましょう。 

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