復活

復活

2003/12/12

有楽町スバル座

 

イタリアのパオロ&ヴィットリオ・タビアーニ監督が好きで観にいきました。

トルストイの原作の壮大な映画化で、ちょうど20世紀を迎えようとしているロシアの再現は

大変だったでしょう。映画は第一部と第二部をつなぎあわせていました。

主人公は、自分のせいで身を落としてしまった娼婦のために自分の一生を捧げる決心をする

(結婚して罪を贖おうとする、結婚による贖罪)のですが、身分の差がはっきりしている時代、

相手は娼婦、しかも殺人罪で囚人となっている女性。

貴族はもう、どこへいっても貴族。

土地、財産捨てても貴族であることには変わらず、それでは罪は贖えない、という矛盾。

小作人たちに土地を分配すると言っても、小作人たちが逆に困惑してしまうという皮肉。

娼婦カチューシャは愛を知りつつも、拒まなければ相手が不幸になるとわかって行動する現実。

『父パードレ・パドローネ』『カオス・シチリア物語』『サン・ロレンツォの夜』『グッド・モーニング、

バビロン!』と過去の作品を観ればわかるのですが、タヴィアーニ監督の視線は常に「庶民の目」で

あって、この映画では貴族が描かれますが、あまりゴテゴテと絢爛豪華なお芝居にはしません。

カチューシャ役のステファにア・ロッカが、どんなに身を落として不幸な境遇になっても凛と

していて、潔く、暗いムードにはならず生き抜くという力強さをみせています。

3時間7分という長さ(一部と二部にわかれている)でも原作を網羅することは難しいかもしれませんが、人間の強さ、弱さ、深さを堂々と描ききっていて満足の時間でした。

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