エレファント
2004/03/31
シネセゾン渋谷
観に行った映画館では、上映前に「この映画は大変静かな映画ですので上映中の飲食他はご遠慮ください」
という良心的な注意がありました。
1999年のアメリカ、コロンバイン高校の事件を(あくまで)モチーフにした映画ですが、描かれるのはごく普通の高校生たちです。
私はアメリカ人ではないし、アメリカに行ったこともないのですが、写真が趣味の男の子、仲のいいカップル、おしゃべりに盛り上がる女の子達、日本でも見られるごく普通の高校生たちの後姿をカメラは静かに追いますが、平和でもあるし、また色々な不安のようなものも感じさせるカメラワークに感心しました。
学校の中を歩き回る高校生たちの姿を微妙に時間軸をずらして、時間が後戻りしたり、とばしたり・・・
スローモーションになったり。なんとなく不穏な気持ちをかきたてます。
しかし、この映画のなにが凄いって、何故、がすっぽり抜け落ちているのです。
いじめられている、さえない子にとっては学校っていうのは苦痛の場、なんですね。
見栄えがよくて華やかな子にとっては青春の楽園なのかもしれませんが。
それをさりげなく群像の中にまぎれさせているけれども、理由、何故までは描かなかった監督の頭の良さと
勇気がじわじわわかるような展開。
ゆったりとしているようでどこか緊張感がはりつめている。それを説明的な台詞なしで描いてしまうのです。
そしてエンドクレジットに浮かぶ空の雲、なんとも物悲しい映像でした。
この映画は若い人たち、に観て欲しいです。
そして、抜け落ちた「理由」を考えて欲しい。でも、それは大人も同じ事なのかもしれません。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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