アメリカン・スプレンダー
American Splendor
2004年6月30日 銀座・ヤマハホールにて(試写会) 2003年アメリカ:101分:シャリ・スプリンガー、ロバート・プルチーニ
クリーブランドで病院の書類事務をしている1人の男、ハービー・ピーカーが主人公なんですが、アメリカでは有名なんでしょうね、コミック誌'American Splendor'の原作者。コミックといってもヒーローものや冒険ものではなく、自分の身の周りの日常のあれこれ、を友人のコミック・ライターに描いてもらったのが大ヒット、の有名人。
このピーカーってもう全編通して「小人物」なんですね。実にせこい、さえない、不満だらけの生活を送っていて、コミックが有名になっても病院の仕事は定年まで勤めるという・・・この「せこい、さえない、不満だらけ」の等身大の自分をひねくれて、アイロニックに描いたことがアイディアの勝利で共感を得たわけですが、どうしても、ひねこび性格はなおらない、というのがなんとも可笑しいです。
しかし、妻となる人と出会ってスピード結婚してしまうのですが、この奥さんもユニークで、「我が道をゆく」というなんともお似合いのような、なんだかアブナイような夫婦のやりとりがまた、とほほ笑いを誘います。成功談を描いているのになんだかハッピーじゃないなぁ。
映画は最初、漫画のコマ割りの中に実写が混じって、突然ナレーションを担当しているハービー・ピーカーご本人のアフレコ風景に変わったり、(うしろでは「自分」を演じている役者さんが休んでいたり・・・)バラエティーショーに出演したテレビの映像はご本人だったり、漫画とアニメと実写とドキュメンタリーがごったまぜ、になっているようなんですがこれ、実によく計算されていますね。
役者さんたちが実に、ご本人と似ているのでそれもなんだか可笑しいし、上手く「舞台裏」を織り交ぜていると感心していましました。
映画『ハルク』なんかより、ずっとコミック感ありますね。お金かけない(かけられない)インディペンデント精神がいいです。
奇妙な映画なんですけど、観終わったあとは、これからも、コノヒトたち、変わらないわねぇ~と妙な安心を覚えます。
なんせ、日本ではほとんど知られていないアメリカもの、ですから、東京での公開は六本木ヴァージンシネマズのみ、という例のパターンですね。きっと映画館で観たらアメリカ人観客と笑いの間がずれること必至。
でも実験映画のようで、ちゃんと娯楽になっていて、凝っているところなんかは見所たくさんですよ。私は好きですねぇ、このヘンな個性。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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