キッチン・ストーリー

キッチン・ストーリー

Salmer fra kiokknet(Kitchen Stories)

2004年6月9日  ル・シネマにて 2003年:ノルウェー=スウェーデン合作:95分:監督 ベント・ハーメル

スウェーデンの家庭研究所「HFI」という組織が計画した「ノルウェーの独身男性の台所での行動調査」・・・これだけで十分おかしいアイディアなのに、実際、青緑のカタツムリのようなトレーラーに乗って1人の中年男がある家に到着。

その家に住む独身男性老人の家の台所の隅に脚立をすえて座り込み、行動を観察して記録をつけはじめる。観察者と被観察者は言葉を交わしてはいけないものの・・・当然無理があります。なんだかとてもおまぬけなのですが、これは実在した調査だそうですから驚き。

当然のように2人は言葉を交わしあい、友情めいたものまで発生して、ルールを破った2人はどうなるのか、実験はどうなるのか・・・実に淡々としているものの、何も言わずじーーーーーーーーっと見つめられる居心地の悪さと、観察が退屈になってくる様子は、いつの間にか私たち観客がこの2人の「観察者」になっているのですね。

それで大した事件も起きないのに全体的に妙な緊張感とおまぬけな脱力感が同時にあるという不思議な経験をするのです。

何とも無益な無駄な事(仕事やルール)を守らなければならないという世間への皮肉の目も感じますね。

ノルウェーとスウェーデンの違いというのもあるのでしょうが、国の違う2人の男の友情を暖かくみつめた視線がいいです。

ほとんどが冬の雪にとざされた風景の中、なのですが、ラスト・シーンは春。そんな冬から春への映画でもありました。 

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