LOVERS
十面理伏(House of Flying Daggers)
2004年8月17日 よみうりホールにて(試写会)
(2003年:中国:120分:監督 チャン・イーモウ)
前作『HERO』のスタッフ・・・という宣伝ですが、観てみるとちょっと違いますね。あんまり『HERO』意識が強いとあれ?って感じかもしれません。
謎の官吏の2人(アンディ・ラウと金城武)、盲目の踊り子(チャン・ツィィー)に人物関係をしぼっているから、あまり群衆シーンというのはないですね。ワイヤーアクション控えめですし。
映像は相変わらず素晴らしいですねぇ~特に最初チャン・ツィィーが踊るシーンの独創性と迫力と色使い、美しい衣装、舞踏とアクションが融合した流れるような動き。
このシーンでは青が強調されているのですけれど、チャン・イーモウ監督といえば「赤」なのですが今回は青、緑・・・といった色を美しく撮っています。
袖の長い衣装をひらひら~っていうのはチャン・イーモウ監督の『菊豆(チュイトウ)』で、染物屋の高い天井から色とりどりの布がさぁ~~~っとひらめき落ちるシーンを思い出しました。人数少ない、狭い人間関係を描くっていうのが、昔の監督の特徴でしたから、うしうし、よしよし・・・って私は思ってしまいましたが、『初恋がきた道』以降のチャン・イーモウ監督作品しか知らないと、あれあれ?って思うかもしれません。
また、チャン・イーモウ監督は「男に媚びる女」は描きません。ずっとそれを受け持っていたのが、コン・リーだったわけですが、チャン・ツィィーもね、かわいい、というより毅然としているのです。かたくなな表情がよく似合う女優さんです。
アンディ・ラウ(劉 徳華)とチャン・ツィィーのアクションはもう、筋金入りですが、金城君あんまりアクションものは出演していないのですね。『暗黒街』というのが一応あるのですが、アクションする金城武ってあんまりピンときませんでした。
しかし、今回はロケ地ウクライナで、馬を疾走させ、美しい竹林の中での戦いなどなど肉弾戦に近いアクションやってますね。
(インタビューで大変苦労しました、と話しているくらい)
この映画はスクリーンの為に作られた映画ですね。チャン・イーモウ監督の映画っていつもスクリーンの為に・・・っていう志が見えます。ビデオやDVDで観るとダメな映画かもしれないです。スクリーンで映像、色彩に酔えればもう、よし!
『グリーン・ディスティニー』と『HERO』・・・チャン・ツィィー出ているし、ワイヤーアクションばりばりという所は似ていますが、監督も違うし描いているものが全然違うのですが、この『LOVERS』はまた違うので、いっしょくたにするのはどうかなぁ~。
120分、短くてもっと観たかった・・・というのが残念といえば残念。
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2006年3月11日 DVDにて鑑賞
今回、DVDで再見して、時間のカウンターを見てしまったのですが、映画始まって5分でもう、映画の見せ場を堂々とやってしまう所が凄いと思いました。
最初に、回想なんかで、見せ場をちらりでつかみはOKではなく、いきなり本筋の見せ場になってしまう訳です。
そこら辺の構成の上手さというのは、DVDでなければ気がつきませんでした。思わず、今、何分たった?なんて確認しながら観てしまいましたが、本当にアクションとドラマのバランスがいい。
そして映像はあくまでも明るい色鮮やかさを強調して綺麗です。そして出てくるメインの3人(アンディ・ラウ、チャン・ツィイー、金城武)をそれぞれ綺麗に撮っています。
誰が主役というよりも、3人はほとんど同じくらいの比率に配分されていますね。
いい映画でもありますが、上手い映画!とうなってしまうのでした。
私が好きなのは、チャン・ツィイーのお風呂をやっぱりのぞいてしまう金城君の表情と、最後、秋から冬の雪景色にかわってしまう大胆さです。普通、思いつかないよねぇ~って映画ならではの事をやっているなぁ、と感心。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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