アリス

アリス

Alice

2004年8月11日  渋谷 シアターイメージフォーラムにて

(1987年:スイス=ドイツ=イギリス:85分:監督 ヤン・シュヴァンクマイエル)

シュヴァンクマイエル監督初長編作品。

原作というよりInspiredされたルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』です。

ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』は、言葉(英語)の語呂合わせや伝説・昔話への諧謔にあふれていて実は日本人が翻訳を読んでもピンとこないもの。

シュヴァンクマイエル監督は、悪趣味とも言える世界を作り上げています。

アリスが追いかける白ウサギは、部屋のガラスケースに入っている剥製の白ウサギが動き出すので、「剥製」が動き出す生々しい気持ち悪さに満ちているし、その白ウサギを追っていくアリスの前に広がる世界はいつも「部屋の中」正に悪夢の世界。

アリスが落ちる穴もエレベーターであって、目の前に現れるのは棚にならんだ気持ち悪いもの・・・釘をたくさん刺したパンだったり、画鋲入りのジャムだったり、下の方になると動物の白骨だとか剥製です。靴下が芋虫になり、机の引き出しがすべての出入り口。

しかしアリスという少女のキャラクターは変わっていないですね。わがままで勝手できまぐれ。そういう所が興味深いですね。

原作の雰囲気実は忠実に現しているじゃないか、と見終わって思ってしまいました。

でも、ラストは原作よりこわ~いオチがついてます。いいなぁ、この凝った世界。ず~っと観ていたいとは思わないのですが、たまにみるとびっくりする実写とアニメの技術です。

他のアリスものではディズニーのアニメより『ドリーム・チャイルド』という映画の方がいいです。これはジム・ヘンソンがアリスの世界を作り上げています。ゼラチンのような海とか・・・気持ち悪いのは変わらないけれどそれだけではない綺麗な映画です。

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