ぼくセザール10歳半1m39cm

ぼくセザール10歳半1m39cm

Moi Cesar 10ans1/2 1m39

2004年9月8日 日比谷スカラ座2にて

(2003年:フランス:99分:監督 リシャール・ベリ)

これは「よい子」の映画でなく「子供の本音」の映画ですね。本音炸裂しているセザールによるナレーションが可笑しいです!

タイトル通り10歳半の本音というのが、大人からしたら・・・なんですが、見栄もあれば、甘えもある、「クラスで1番だとみんなに嫌われる、ビリだと親が学校に呼ばれるから」クラスの中では目立たないようにしている・・・身の振り方を見抜いて用心している小心者、恋心もあるし、異性への興味もふか~いものがある、人気者の親友が羨ましくもある、子供扱いされれば不快だし、かといって親がわかってくれないと拗ねる、まだまだ幼い、わかってないけれど大人をよく観察していますねぇ。脚本がしゃれてていてユーモアとウィットにあふれていますね。

それが、観る側の共感、郷愁になったり、全く子供って!とあきれたり、周りの親、大人たちも子供から見たら、口には出さないけれど心の中では「けっ」というのが可笑しいやら、納得やら。バランスよく色々な面を楽しくつなげていますね。

そして子供の一番の敵は「退屈」・・・冒頭お葬式のシーンから始まりますが、セザールは退屈、退屈。。。。大人たちが涙を流しているのをしらけて見ているのは不遜かもしれませんが、でもそんなもんだよねぇ~っていう気持ちにさせる最初のシーンから風船でいっぱいのラストまで、テンポよく軽く微笑ましく続くのでとても楽しい映画でした。

子供たちが集まって見るテレビの映画は『パルプフィクション』であってジョン・トラボルタとユマ・サーマンがダンスする(あの)名場面を食い入るように見ていたり・・・クラスで人気者になってしまう(そして即墜落してしまう)顛末・・・大人になった今観ると、笑えますけれど親の立場や教育者の立場になったら、ダメ!ってことになるスレスレ感。

カメラがセザールの身長の目線の高さで通しているのも興味深いところ。狭い世界ながらも、見上げる世界でもあり、視線は上に上に向いています。観察する目が鋭いので普段何気なく見過ごしている小さなことの発見の数々。

フランソワ・トリュフォー監督の『トリュフォーの思春期』が小学生たちの本音のあれこれが楽しかったのと同じような気分になりました。

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