サラバンド
Yo-Yo Ma Inspired by Bach:Sarabande
2004年10月28日 渋谷 シアターイメージフォーラにて
(1997年:カナダ:57分:監督 アトム・エゴヤン)
ヨーヨー・マが原案を出したものを映画化したものですが、ただのドキュメンタリーではなく演奏の為にカナダを訪れたヨーヨー・マをめぐる人々が、ジグゾー・パズルの断片のように描かれ、その合間にバッハの「無伴奏チェロ組曲」の演奏が流れていき、人間のエロスと死をうかびあがらせているようです。
病院の医師でチェロを習っている女医、その患者の男女、ヨーヨー・マを空港に迎えに行くギリシャ系の運転手・・・・それぞれが悩み、会話しながらヨーヨー・マのチェロ伴奏の渦巻きに巻き込まれていくように集約していくという、音楽を映画にしたら・・・という実験的な試みかもしれません。
しかしヨーヨー・マ氏の演奏をここまで撮りながら数々の人生ドラマをきちんと納めてしまう技量とセンスは素晴らしいですね。
同時上映された短編『ハワードの送別会』(14分)はエゴヤン監督19歳の時の処女短編。『オープン・ハウス』(25分)は大学の卒業にあたって作られたものですが、どちらもすでに「老人に近い男」・・・特に『ハワードの送別会』などは定年退職する男の喜悲劇です。とても19歳の発想とは思えない老成さ、が怖いような短編ですね。
更夜飯店
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