ナイトメア・ビフォア・クリスマス

ナイトメア・ビフォア・クリスマス

Tim Burton's The Nightmare Before Christmas

2004年10月12日 新宿厚生年金会館ホールにて(試写会)

(1994年:アメリカ:76分:監督 ヘンリー・セリック)

これは本人に直接聞いた訳ではないのですが、確信を持って言えるのは、ティム・バートンさんは、クリスマスよりハロウィーンの方が好きで一年中、ハロウィーンだったらいいのに・・・って願っていた子供だったでしょうね、ということ。私は子供の頃、一年中七夕だったらいい、と思っていました。

全ての世界が一年中ハロウィーンではなく、クリスマスタウン、イースタータウン、セント・パトリックタウン、サンクス・ギビングタウンと分れているのがいいのですが、ハロウィーンタウンは一年中ハロウィーン。

映画の冒頭、カメラがそのハロウィーンタウンにさぁ~っと入っていく所からしてもう、ダークでユニークでユーモラスで怖い、でもわくわくするものがいっぱいの気分になります。

残酷でグロテスクなものが、ユニークでウィットにあふれている世界に変えることが出来るという発想が素晴らしい。

ハロウィーンタウンの住人たちの個性的で幼い様子。王様、ジャック・スケルトンの家の呼び鈴を鳴らすとヒィーっていう悲鳴の音。町長さんがアナウンスする時のサイレンは黒猫でギャー。ジャックの飼い犬は幽霊の犬、ゼロ。

私はこのゼロが大好きです。ひらひらした紙のような犬ですがとても可愛い。

ハロウィーンばかりに飽きてしまったジャックがのぞいてしまったクリスマスタウン。そして、ハロウィーンタウンでクリスマスをやって、サンタクロースを自分がやりたい、と意欲をわかすジャックですが、平和で楽しいはずのクリスマスタウンには「軍」があって余所者を撃墜するってところが、また、アイディアですよね。クリスマスタウン=大国のイメージが思わず・・・そしてティム・バートン監督の映画に共通するのは、「わかってもらえない哀しみ」です。

そしてダニー・エルフマン(ジャックの歌声はダニー・エルフマンなんですね)による、名曲の数々。台詞はほとんど歌でミュージカルなんですね。こんなに歌が多いのを忘れていました。哀しい感じに変調するメロディ。綺麗に韻を踏んだ歌詞。特にサリーがジャックへの想いを1人歌う歌が特に好きです。ラブ・ストーリーでもあるのですよね。

ビデオでは何度も観ていましたが、大スクリーンで音響もよく、全身でこの世界を体感できたことがとても嬉しいです。

日本公開10周年ということで公開されますが、ビデオで観ることとスクリーンで観ることの違いをここまで痛感したのは初めてかもしれません。これは劇場に足を運んだ人だけが味わえる至福です。

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