エイプリルの七面鳥
Pieces of April
2004年10月6日 銀座 ガスホールにて(試写会)
(2003年:アメリカ:80分:監督 ピーター・ヘッジズ)
お金をかけていない、本当に低予算の映画です。しかし、家族のはみだし者の長女、エイプリルが仲の悪い家族を感謝祭の料理でもてなそう・・・というあれこれが丁寧に描かれています。ちょっと変わったファミリー・コメディ。
タマネギの皮もロクにむけないエイプリル。優しいボーフレンドが協力しようとしても、ぴりぴり・・・一方家族は、厄介者、エイプリルが家に来るよりは、自分たちが行ってさっさとエイプリルとの対面はすませてしまおう・・・という魂胆。
エイプリルの奮闘ぶりと家族がのろのろと、ニューヨークのアパートに向かう様子が交互に描かれます。
映画の技術というよりも、アイディア、脚本、話術の上手さが光っています。
ハプニングは、エイプリルがやっと作り上げた七面鳥をオーブンで焼こうとすると・・・オーブンが壊れている!七面鳥を持って、アパートのオーブンを借りようと走り回るのですが、下町の色々な人種の人たちが集まっているアパート、オーブン!!!だけで間の悪いハプニングが連続して起きてしまうのを、コミカルに手際よく描き、またどんどん近づいてくる家族たち・・・・間に合うのか???エイプリル!
語り口が上手くて、弟がいつもカメラを持っていて、カシャカシャ撮っているのを上手く使ったり、時間の飛ばし方、見せ方、説明の手際よさ、頭のいい映画です。エイプリルがオーブンの故障から普段は全くつきあいのない人たちと接することで、腹を立てたり、学んだり、といった成長もさりげなくもりこまれています。
感謝祭の料理も人それぞれで、ものすごく凝った料理を作る人たちに会って唖然とするエイプリルと同様、感謝祭の料理をよく知らない私も、えええ~~~そんなに・・・って思ってしまいました。
母親役のパトリシア・クラークソンが、ツンとしていて嫌味たらたら・・・それを必死にフォローしようとする父、優等生でこれまた嫌味な妹、ふざけてばかりいる弟、痴呆でぽ~っとしている祖母・・・そしてパンクの服装・メイクで必死に料理するエイプリル。
不器用な料理は、最初はあきれて笑えるのですが、だんだんエイプリル大丈夫か???もし、自分だったら?という「手伝いたい!」という共感に変わっていきます。
ばらばらな家族が集まる・・・これだけでスリリングで微笑ましい映画が作れる、という事に感心します。
セルフ・タイマーのジリジリジリジリ・・・・・・・という間の取り方とか・・・間の悪さを面白く料理している映画です。
監督は『ギルバート・グレイプ』『アバウト・ア・ボーイ』の脚本を書いた人で、低予算ながらも工夫で見せる、、、こういう映画は簡単そうに見えても実は難しいことですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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