僕はラジオ
Radio
2004年10月6日 日比谷シャンテシネにて
(2003年:アメリカ:109分:監督 マイク・トーリン)
知的障がい者の青年を街の人が救う・・・という単なる美談ではないですね。下手すれば陳腐で説教くさくなってしまう「わかりやすい話」になってしまうのですが、映像の美しさと脚本のさりげなさ、俳優の抑えた演技・・・とても謙虚で志高い映画になっていると思います。
1970年のアメリカ南部のサウスカロライナ州の高校を舞台にしています。黒人で知的障がい者、それだけでもう偏見の目にさらされてしまっています。
このアンダーソンという街は小さな街で、アメフトやバスケットの高校試合が最大の(?)街の人の楽しみ。
エド・ハリス演じるアメフト部のコーチがラジオに声をかけ、反対の目をはねつけて学校へ誘う。
このエド・ハリスが強いアメフト部伝統を作り上げた人ですが、信条が強く、かつとても謙虚な人・・・というのが説得力ありました。もちろん選手には厳しいコーチですが、緩急をわきまえたコーチぶりが丁寧に描かれるので、ラジオとの接し方もわざとらしくなく凛としているのが胸をすくような気持ちになります。
ただでさえ他人と関わりあうのを避けるような人間関係の中、ラジオを救うのではなくてラジオを受け入れることで自分たちが変わっていくということをさりげなく、しかし力強く描いている抑え方がこの映画の妙。
ラジオ役のキューバ・グッディングJr.は、さすが上手いのですが、ラスト、今現在のラジオが・・・という所で、本当によく観察して演じていたんだという演技の質の高さも見所かなぁ。しかし、やっぱりエド・ハリスのアイス・ブルーの穏やかで鋭い意志の強い瞳が一番印象的。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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