鉄人28号
2005年3月23日 渋谷 アミューズCQNにて
(2004年:日本:114分:監督 冨樫森)
平成に昭和を甦らせる映画です。
冨樫森監督は、この映画について「まず小学生、中学生にもっとも喜んでもらうように作りました」というコメントをしています。
設定は現代でも、それに昭和のテイストを出して、平成生まれの小中学生にどれだけ伝えるか・・・そんな工夫が楽しいのですが、やはり子供と話す時は子供の背の高さに目線を合わせるということをきちんとわかっています。
さすが、少年少女の気持ちを上手く描いた『ごめん』の冨樫監督。
昭和を感じさせるもの・・・服装、正太郎少年の半ズボン、天才少女、真美のベレー帽、綾部博士のメガネ、レトロな車とその運転手の制服、また家の周りの路地も神保町や谷中をロケに選び、小物も風鈴、ポプラ社の江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ、そして一番、わぁっと思ったのは、ラジコン。
ラジコンを持っている子、操縦出来る子というのはとても「凄い」存在でした。
そして鉄人28号と悪者ロボット、ブラック・オックスのシンプルさ、鉄人28号の格納庫の機械のレトロさ、丸の内や東京タワーが舞台となるというのも昭和。
正太郎少年と綾部博士の会話には、夏のカナカナの鳴き声がして、千住明の音楽が、それに沿うように雰囲気を出しています。
そこに平成ならではの新しい発想や高度な技術というものが合体しています。例えば鉄人をコントロールするというローテクなコントローラーの変化。
いちいちそれに気づかなくてもいいのです。そういう工夫が上手くされた映画を通して昭和を感じて、楽しんでもらえればそれでいいのだと思います。
配役もスタッフも日本映画で活躍している人を集めている楽しさと、個人的には鈴木清順監督の『陽炎座』とほとんど同じ、ステッキを使う綾部博士こと中村嘉葎雄さんに大喜び、なのですが、 この世界、大人があれこれつっこむのは野暮な話だと思います。
もともとが荒唐無稽な冒険活劇漫画です。
昭和を知っている大人が観るのだったら、昭和という時代を思い出しつつ、へぇ~と無心になる。とても楽しく観られます。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
0コメント