スパイするカメラ

スパイするカメラ

Spying-Cam

2005年3月8日 渋谷シアターイメージフォーラムにて(韓国インディペンデント映画2005)

(2004年:韓国:100分:監督 ファン・チョルミン)

真夏の暑いある安ホテルの一室。クーラーもなく家具らしいものも何もない部屋で、ランニングに短パンの若い男が2人汗をかいて寝ている。

この2人、年上の方をヒョン(先輩)と呼んでいるけれど、どうでもいいような会話の繰り返しで、どういう関係なのか(ホテルの清掃員は同性愛者なんじゃないか?と噂する)、何の為にここにいるのかよくわかりません。

年下の男はいつもビデオカメラを持って何もない部屋のあれこれを撮影しています。

なんだか2人暇をもてあまして年下の男が持っている本、ドストエフスキーの『罪と罰』を2人で役割分担して朗読、演じようという遊びを始めます。

ソーニャの役は、先輩の男で、マッチョな先輩男はソーニャ役がいたくお気に入り。なんだかその遊びに没頭していく2人。

しかしだんだんわかってくるのは年上の男は、「権力側」、年下の男を軟禁して監視しているのだ・・・ということです。

隣の部屋の女の子が参入してきてから、だんだん年上の男の「権力公使」が明らかになっていきます。

やっとホテルから解放されるとそして季節は一気に冬。冬の山道を車で走る2人。年下の男は脱走をしようとねらいますが、なかなか上手くいかない。

年下の男が持っているビデオカメラ、本、演劇ごっこ・・・を「何もない風景」の中で見事に映画を作っているという・・・ドキュメンタリータッチでありながら、季節感をはっきり無視して、真夏と真冬という季節の使い分けで権力で支配するものとされるものを描き分けています。いつでも対立関係ではない、時には仲良くなったり、話をかわしたり・・・という絶交渉ではないその実態を批判的揶揄でもって描いています。

最後の冬の場面ののどけさと戦慄するような冷たさ・・・汗だらだらから一気に戦慄へ・・・そんなテンポが独特でどうなるのだろう・・・という引っぱり方が、さりげないようでとても計算されている「目論み」がよくわかる映画ですね。

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