ワンダーランド
Wonderland
2005年5月13日 銀座ヤマハホールにて(試写会)
(2003年:アメリカ:106分:監督 ブライアン・コックス)
1980年代のハリウッドの光と影、そんな言葉が浮かびました。
1981年ハリウッドのワンダーランド通りで起きた殺人事件。犯人として逮捕されたのは、70年代にポルノスターとしてカリスマ的な人気を誇っていた、ジョン・ホームズだったという実話を、映画化したものです。
この事件の時点でもうジョン・ホームズは、人気は全くなく生活力のないただのダメ男に成り下がってしまっています。
そんな汚れた役をやったのが、ヴァル・キルマー。役も汚れているが、見た目も汚れております。
しかし、私は密かな(って公言してるけど)ヴァル・ファンなんです。うう、汚れが似合うヴァル。
ヴァルが演じたジョン・ホームズという男。とことんダメダメダメな奴。もう自分を慕ってくれて一緒にいてくれるのは、まだ少女とも言える女性、ドーン(ケイト・ボスワース)だけです。このドーンが、なにがあっても、ジョンを信じて疑わない、身を売られるような事をされても、すぐに'I'm your girl.'と即答する。何がそんなにドーンを惹きつけるのか・・・っていうのも興味深いのですが、事件は、どんどん迷宮入りしていく。
色々な人の証言が再現されていくのですが、どれも「自分に都合のいい話」ばかりですが、事の顛末は意外とシンプルで、ただ肝心の目撃者がいない、ということなんです。
しかし、愛人ドーンと、別居はしていても離婚はしないというもう一人のジョンをある意味慕う妻、シャロンは、それぞれ決定的な事を目撃しているのです。実際、ドーン・シラーとシャロン・ホームズの2人を取材して、脚色された映画ですが、なんだかもう時効だからいいかな?みたいな所もあり。結局、主要な人物たちは今や自滅してしまっているのですから。
最初のシーンから、ハリウッド、ハリウッドという風景を強調している割には、映像はザラザラしていて、なんだか汚らしい街です。
そこにドラッグ、銃、マフィア・・・がはびこり、堕落した人々がこれでもか、と出てくるのですが、醒めた視線とちょっとドキュメンタリータッチ入っている所で、映画全体の空気は、乾燥してて、ドライな雰囲気になっていました。
ヴァル・キルマー、ぼさぼさの髪に髭面で、調子の良いことばかり言うようですが、何気ない所での笑顔や、気配りなんかが出来る人だった、という視線なので単純な悪者というより時代の犠牲者という印象が強いです。
そして本妻と愛人関係のシャロンとドーンが、ジョンを通じた同志的連帯感を持って、お互いいたわり合うという、この関係もジョン・ホームズの人柄をよく知っているからこその、連帯感なのかなぁ、むしろ愛情とまで感じてしまう不思議なムードの所が好きだったりします。
こんな関係もあるんだなぁ、という意外性。
音楽が80年代の音楽集めていて、私はパティ・スミスの「グロリア」とラストのロキシー・ミュージックには個人的にじ~んとしてしまいました。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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