メリンダとメリンダ
Melinda and Melinda
2005年6月24日 ヤクルトホールにて(試写会)
(2004年:アメリカ:100分:監督 ウディ・アレン)
たとえば・・・同じ鮭を料理するとしても、塩焼きにして大根おろしで和風、小麦粉つけてバターで炒めれば洋風ムニエル。
素材は同じでも料理法で、味付けも、皿も使う道具、箸orナイフ・フォークと変わるんだよね、ということを映画でやってみせたウディ・アレンであります。
そして結果としてどちらも美味しく食べられるように作ることのできる料理の達人の域にまでいっちゃってます。
鮭にあたるのは、一人の美女メリンダ。メリンダは失恋して、行くあてがなく、友人がパーティを開いている家にいきなり押しかけてくる・・・という出だしは同じ。そして、新しい恋に出会い、すれ違いがあって・・・喜劇となるか悲劇となるか・・・料理してみせます。
全く違う話にするのではなく、メリンダだけでなく、小物、人間関係なんかは味はちがっても素材は同じという細かい凝りようが観ていてとても楽しい。
悲劇といっても喜劇の要素があり、喜劇といってもドタバタではない。
どちらも人間賛歌になっているけれど、映画という枠の中で、役者を自由に泳がせて、台詞で遊んで、ちょっと辛辣で・・・しかも喜劇メリンダと悲劇メリンダは別人の役者を使い、それが同時進行させるという技。
映像のカラーを変えてみせたり、テンポを変えてみせたり・・・そんな小細工は全くせずに、2つの「同じ話」を見せてしまうのは凄いですけれど、凄いだろう~~~という気負いは全く感じられない余裕あり。
今回は、ウディ・アレンは出ていないのですが、ウィル・フェレルがウディ・アレンのやりそうな、喜劇メリンダに振り回されてしまうちょっとずれた人を、あわあわと演じていました。
舞台はもちろんニューヨーク。自信もって冷静に悲劇と喜劇といった一本調子を上手く紡いで結局ひとつの大人の恋愛映画にしてしまう知的なお遊び映画。
さて、この映画を観たあなたは、鮭の塩焼きが好きか?ムニエルがお好みか?そんな意見も聞いてみたいです。
ウディ・アレンってくせもの。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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