私の頭の中の消しゴム

私の頭の中の消しゴム

A Moment to Remenber

2005年8月25日 イイノホールにて(試写会)

(2004年:韓国:117分:監督 イ・ジェハン)

これチラシに小さく書いてあるし、映画の最後のクレジットにも出ますが、Based on the television program "Pure Soul"Created and produced by Yomiuri Television, Japan 2001となっています。

これ、日本のテレビを原作にした映画なんですね。

若年性アルツハイマーにかかった妻をひたすら支える夫であります。

アルツハイマーというと、ちょっと悲惨なイメージがあり、実際大変なことなんですが、この辛い素材を甘く演出して、ひとつの心地よい世界に昇華させているのが良かったです。

もちろん、若年性アルツハイマーの症状の出方などは、日本映画と違って、以前『マラソン』の自閉症と同じくかなりシビアな表現を勇気もって描いています。

「人の涙を流させるために、人を殺すのはいやだった。忘れられてしまう、という悲しみの涙の方が胸に残ると思う」といったことを監督が語っていますが、正にそういう映画なんですね。

主人公のスジンは『ラブ・ストーリー』に続き病弱タイプが似合う、ソン・イェジン。そして夫チョルスは『トンケの蒼い空』で、情けない青年を演じたチョン・ウソンです。

最初のころのチョン・ウソンはどっちかというと建築現場の作業員でトンケ風の肉体労働者であります。

ちょっと粗暴さを秘めているところなんかがいいです。

しかし、スジンと出会って恋仲になってからは話はとんとんと進む。そして病気の発覚です。

もう、忘れるな、と言っても自分の家の帰り方がわからなくなることからはじまり、自分の名前、家族の名前、日常生活なども何も出来なくなってしまう・・・という絶望感を、どん底に突き落とすような事はしません。

あくまでも風が吹き抜けているような2人の距離感がいいです。時にぴったりと寄り添い、またあるときは離れてしまう。

2人の間には風がいつも吹いている・・・劇的なシーンも押えていて、心の傷を静かに見つめているような視線がいいなぁ。

前評判ほど、ベタベタに甘い話ではないのですが、この透明な空気感が好きですね。

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