アンテナ
2005年11月17日 DVDにて
(2003年:日本:117分:監督 熊切和嘉)
心身共に痛い事を描いていますが、映像はとてもクリアで、綺麗で、しっかりとした視線を感じます。
今時、簡単にひとことに「癒す」と言うけれど、本当にそこまで人は深く傷ついているのでしょうか。
抑圧から自傷行為がやめられない主人公、長男、祐一郎(加瀬亮)の心身共に裸になって苦しみ、涙を流し、血を流す演技。これは相当、力量がないと出来ない事。
自分を傷つける行為の行き着く先が、傷つけ、傷つけられるSMの世界であったという事の説得力はここまでしないと、出てこない。
ただの性欲の話になってしまうところを、精神の病というものにきちんと対峙しているから、目をそらさないから、この勇敢さというものにうたれる訳です。
また、いなくなった妹マリエのかわりにならなければならなかった弟ユウヤが、鉄塔を登っていくときの痛々ししさと、そこで解きはなったリボンが空を舞う時の開放感。
この家族は、完全に救われた訳ではないのでしょう。
いつまでも「(いなくなった)マリエは戻ってくる」という希望のような形をした願望が実は絶望なのだという自覚出来るか出来ないか。
曖昧なぼんやりとしたものが見えた、それだけで何年も何年も解決しなかったひとつのことが解決されたとも思えます。
そんな些細な事が実はもの凄く大きな事、大事な事だという、作り手の繊細さと優しさが、とても好きです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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