大冒険

大冒険

2006年4月23日 DVD

(1965年:日本:106分:監督 古澤憲吾、特撮監督 円谷英二)

植木等が、「やられたぁ」って叫ぶシーンがありますが、この映画には本当にやられたぁってばったり倒れる感じです。

クレイジー・キャッツ結成10周年映画であり、クレイジー映画と円谷特撮映画の合体でもあり、当時の東京、神戸などの観光映画でもあり、アクション映画でもあり・・・東宝娯楽映画史上最高の映画と言われているそうです。

一番驚いたのは無駄なシーンがない。

もちろんクレイジー・キャッツの為の映画ではあっても無駄なく次から次へとストーリーが転がっていく。

特撮を円谷英二が監督している為、最後の方にはとてつもないスケールの大作になるのですが、同時にとてもスマート。

どうして日本はこういうスマートさを忘れてしまったのでしょう。

市川昆監督の『トッポ・ジージョのボタン戦争』を観た時も同じ気持になったのですが。

植木等の「があ~はっはっ」って何でも笑い飛ばす「技」は高等技術です。

植木等じゃなければ、顰蹙もののネタでも、「がぁ~~はっはっ」で観ている方も笑い飛ばせる。

「あ、ミサイルだ。来てよかったなぁ~~~」

「ヒトラーって知らないか。俺たちの子供時代のヒーローよ」

植木等は体操の選手だったという設定ですが、それを上手くいかしたアクションの数々だけでなく、演説をとうとうと始めてしまうあたりは、偉そうな事言っていても偉そうじゃない、でも説得力は抜群、というスマートさが出せるのは植木等ならでは。

他のメンバーもそれぞれキャラクターがきちんと設定されていて、無理なく自然でそれが、混戦状態になる面白さ。

ミサイルが出てきても、あああ・・・発射か???と思うとゆるゆると下がったりして、なんとも笑えるタイミングがいい。

また、出てくる人の髪型がなつかしいというか、植木等は同時期の黒澤明監督映画の三船敏郎と似ている(顔の輪郭とか)けれど、いつも怒っているような豪快な(力みが魅力の)三船敏郎に比べて、植木等の軽さはグレイト。 悪役やったのが越路吹雪って所がまた、グレイトなんです。

私が天才だと思っている人は、香港のジェフ・ラウ監督(チャイニーズ・オデッセイ他)なのですが、植木等も天才。

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