パリ、ジュテーム

パリ、ジュテーム

Paris Je t'aime

2007年3月25日 恵比寿ガーデンシネマにて

(2006年:フランス:120分:監督 オリヴィエ・アサイアス他17人)

 突然ですが、この映画を見終った後、すぐに思い出したのは、アメリカの18禁のアブナイ人形劇『チーム★アメリカ ワールド・ポリス』なんですね。実はこの映画はおフランスのパリーから映画が始まるのです。

その、パリーの様子っていうのが、もうメチャクチャ陳腐で笑ってしまうくらいなのですが、エッフェル塔が見える公園で、ベレー帽かぶった絵描きがいて、ご丁寧に足元のレンガの模様はクロワッサンでした・・・いやー意外と外国人が考える「おフランス」ってこんなものかも!!!って大笑いしたと同時に感心してしまいました。

フランスに旅行してきました・・・という人でも印象に残っているおフランスというのはこんなものかも・・・なんて思うのです。

 わたしは特にフランスに特別な思い入れはないのですが、まぁ、「ふらんすにいきたしと思えど・・・」と謳った詩人もいたことだし、フランスというのは一種の憧れなのかもしれません。

 そんな気持でこの映画、期待してみると全然違うものだと思うのですね。

世界の18人の監督が5分ずつ、パリの各地域の名前をとった短編が綴られる映画です。

それは、フランス人だけでなく、外国人から見た奇妙なフランス、だったり、移住した他民族から見たフランスだったりするからです。

 コーエン兄弟の「チュイリー駅」などはアメリカ人観光客、スティーブ・ブシェミの「ガイドブック通りにいかないパリ」であり、クリストファー・ドイルが描くのは、中国系の人たちがたくさん住むパリ・・・だったりします。

「エッフェル塔」という短編もあるのですが、『地下鉄のザジ』でエッフェル塔を登っていくと、途中に寒さでふるえるシロクマがいた・・・っていう不可思議なシーンを彷彿させる不思議さがありました。

 キレイキレイな観光映画ではないけれど、ここまであちこち撮られる街というのもいいもので、パリだけでなく、どこの都市でも作れそうなアイディアです。

 ラストの5分が好きです。

アメリカ、デンバーで郵便配達をしている独身女性が、ひとりパリの街を歩く。ひとりでホテルに泊まり、ひとりで食事をして、街を歩く。

そして、この街で郵便配達したいな・・・って思う。

その時、わたしはパリを愛し、パリもわたしを愛してくれたのだろうと思う・・・・それがこの映画のタイトルの由来です。

旅行した時に、その土地を愛するだけでなく、その土地から愛されている・・・と思うことがあるだろうか・・・そんなことを思いました。

  

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