Exiled 放・遂
Exiled/Fangzhu
2007年11月18日 有楽町 朝日ホールにて(第8回東京フィルメックス)
(2006年:香港:109分:監督 ジョニー・トー)
特別招待作品
*アニエスb観客賞受賞*
『ザ・ミッション/非情の掟』・・・・ジョニー・トー監督のこの(小品ながら)大傑作が、大好きな人、観なさいっ!!!!
日本で公開決まっているので、タバコ代節約しても、一回飲み会パスしても、観に行きなさいっ!!!
飲み会、一回くらいすっぽかしたって、人間関係はまずくはならないでしょう?
ジョニー・トー監督が好きなのに、飲み会断れなくて・・・断るとさぁ・・・まずいでしょ・・・なんて言う奴は・・・・・(以下略)
あ、わたしは化粧品代、喜んで節約工面しますよ。
というくらい、わたしはこの映画が好きです。
東京フィルメックスの映画は、観念的、哲学的、実験的・・・なものばかりでなく、近年は必ずジョニー・トー監督の新作を特別に招待上映するのです。
去年なんか、『エレクション』だけでなく『エレクション2』まで、上映してしまった太っ腹です。
・・・とはいえ、多作な監督なので、東京国際映画祭でも別の新作が上映されていたりして・・・頭の下がる思いです。
もうね、男たちが並んで歩く・・・それだけで、もう、くぅうううううう・・・・かっこいい!!!
画面がぴっしり決まっていて、かっこいい・・・・・!!!
先頭を歩くはアンソニー・ウォン、その後にフランシス・ン、ちょっと遅れて、ラム・シュー・・・そして最後に・・・(長髪なびかせる)ロイ・チョン!
「西武警察」や「Gメン」みたいに横並びではなく、少しずつずれていて、それだけでこの男4人の関係が、すぱっとわかるでしょう。
リーダー格は前を歩く2人で、弟分にあたるのが後を歩く2人。
舞台はマカオです。返還前のマカオに、上記の4人の男がウーという男を訪ねてくる。
4人はかつては仲間だったウーを殺しに来たのです。
家には奥さんがいて、赤ちゃんがいる。
いきなり始まる銃撃戦。しかし、誰も死なない。その上、4人とウーは、「銃撃戦の後片付け」をするのです!
ここ、感心しましたね。
銃撃戦は、やりっぱなしが映画のお約束です。
割れた鏡を取り替えたり、壊れた椅子を直したりして・・・なんてところを撮る。
その後、みんなで料理を作って、宴会だっ!
なんとも、ハードボイルドな雰囲気と、和やかな雰囲気が合体した見事な流れです。
赤ちゃんは、何も知らずニコニコしている。
外では、警察パトカーがうろうろしているけれど、ロイ・チョンは直接撃つのではなく、道に転がっている缶を撃つ、それが飛ぶ、また撃つ、だんだんパトカーに飛んでくる缶・・・それだけで、へなちょこ警察は退散してしまうのです。
しかし、ウーを殺さなかったかわりに、4人+ウーは、ヤクザのボスを殺す請け合いをする。
レストランで、あちこち席に座る男たち。
そのボスというのが、サイモン・ヤムだったりするところ・・・泣けてきますねぇ。
銃撃戦といっても、えげつなく血しぶきがあがるのではなく、赤い粉がぱっと綺麗に散るのです。
動きも、バレエ、舞踏のように計算され、練習されつくされた洗練の美。
男達は、放浪者です。どこの組に属しているか・・・などという事は出てきません。
そして、男達は直感で判断を下す。
その迷いがない様子が、潔いです。よくある裏切りとか、嘘とか・・・そういった劇的な要素は出してきません。
襲う・・・となったら、即行動であり、話合いの場など描かず、男達は実に機能的に動き、無駄や隙がない。
しかし、所々に笑ってしまうような微笑ましい場面があり、それがまた、哀愁を誘います。
一番は、銃撃戦が終わった後に・・・・じじじ・・・・と出てくる「証明写真」でしょう。
襲撃の前、レストランの中にある証明写真のブースで、写真を撮る4人。
まるでプリクラ撮る女の子たちのような呑気さ・・・を銃撃戦の緊張感の前にもってくるという、上手さ。
華々しい恋愛もないし、涙を誘うような美談でもないけれど、娯楽であって、美学を貫いている、そんな「面白さ」が一杯つまっている映画です。
わたしは、観客が選ぶ観客賞は、この映画であって欲しいと思いましたが、実際、観客賞で、一番、「面白かった」が多かった映画だったということもとても嬉しいし、これは映画祭ならではのうれしさだと思うのです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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