天保六花撰 地獄の花道
2008年1月20日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(生誕百年 映画監督 マキノ雅広(1)
(1960年:日本:103分:マキノ雅弘)
103分というのは、結構長いなぁ・・・と思ってしまいましたが、この映画、登場人物が多くて、人間模様もなかなか複雑ですが、それをさばくうまさというのを感じました。
河内山宗俊という、表向きは僧侶、裏の顔はたかり、ゆすり・・・をしているのが市川右太衛門。
市川右太衛門はやくざの親分ではない、微妙な悪党ぶりを歌舞伎のような演技で・・・だからか、使う言葉が歌舞伎のようで、そこに色々なことをいっぺんにやってしまおうという策略をめぐらすのです。
仇を討つために来た東千代之介。河内山宗俊の家の者たち・・・若いやくざ直次郎が若きころの中村嘉津雄で、なかなかの女たらしのワルですが、河内山宗俊は気迫で、一喝するかとおもうと、上手いこと利用しているような、でも、可愛がっているような関係があり、また、宗俊の一番の味方が、淡島千影演じるおぎん。
このおぎんが、姐さん肌だがしっとりとしたいい女なんですねぇ。
マキノ監督はいつも夢の女を追っていた・・・現実にはいないのだけれども、こんな男が、女がいても・・・という虚の世界を作り上げるのがすごくうまいと思います。
いやらしくないんですね。押しつけがましくもないし。だから、こんな「いい女」いるのかな・・・と思うけれども、すご~く納得して、見惚れてしまう・・・という。
そして、直次郎が惚れている・・・花魁が丘さとみなんですが、これがまたいわくつきでこっちの身請けの話から、仇打ちの手助けやらを、「とにかくいっぺんにやろう」とするんです。
では、混乱しますか・・・というと、不思議と映画を観ていると何が起こっているかよく、わかるのです。
どのシーンにも言えるのですが、特にラストの橋の上で・・・っていうラストシーンのセット撮影は、本当に美しくて、奥行きがあって、きれいで大胆。
若いころの中村嘉津雄のひねくれた暴れん坊ぶりっていうのも、わたしにはびっくりです。
なんだか、すごく盛りだくさんな、ぎっちり感のある映画。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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