野戦軍樂隊

野戦軍樂隊

2008年1月27日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(生誕百年 映画監督 マキノ雅広(1)

(1944年:日本:67分:監督 マキノ正博) 

 これは、昭和19年という設定でかなり敗戦色が強くなってきたころ、やはり国民戦意高揚映画として作られたものですが、舞台は中国駐屯地、そして、兵隊といっても楽隊を作るというアイディアに持ってきたところが、マキノ監督の苦労がしのばれる一本。

 せっかく兵隊になったのに、音楽隊かよ・・・というのは、『迷子の警察音楽隊』のようですが、楽器が何もできない兵隊を集めて楽団にする・・・という一種のミュージカルのような、音楽映画ともいえます。

『スゥイング・ガールズ』と同じアイディアですね。

 まぁ、なんだか、中国の駐屯地はえらく平和で地元の中国の人とも仲良く・・・なんてありえない、のですが、そこを音楽隊・・・ということでかろうじて避けています。

 リアルな世界をドキュメンタリータッチで描く・・・というより虚の世界を上手く作り上げるのがとても得意だったマキノ監督の「一種の理想」。戦争中であっても音楽は大切、という考え方。

 ただ、やはり今観るとかなり、甘くて苦しい部分はあります。実際、戦争に行って体験した人には観るに堪えないものかもしれませんが、戦争中にどういう映画が公開されていたのか、軍はどんな情報操作を映画人たちに強いていたのか、というのがよくわかる一本でもあります。

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