春のめざめ

春のめざめ

2008年2月16日 DVDにて

(2006年:ロシア:27分:監督 アレクサンドル・ペトロフ)

 ジブリが、海外の優れたアニメーションを紹介・・・から、配給するようになった第一回作品。

その前に、ジブリが紹介して公開されたのが、フランスのアニメーション『王と鳥』だったのですが、単館公開だったにもかかわらず、「ジブリ」とつくと、大変な人出でびっくりしました。

恐るべし、ジブリ・ブランド。

 その時、この『春のめざめ』の予告編も観たのですが、あの劇場の混み方を想像すると「空いている映画館」が好きなわたしはつい見逃していました。以上、言い訳、おわり。

 このアニメは、印象派(モネとかですね)の油絵が何千枚も目の前で繰り広げられるような、油絵の質感が非常に強く出ているアニメーションでした。

アニメーションならではの、映像の飛翔の仕方など、大胆なほど、違う世界が次々と繰り広げられるのに驚愕する27分。

 16歳の少年が、恋心を抱く。年上の街で見かけた白い服に青いリボン、青いサングラスの女の人、そして素朴な家のメイド・・・どちらも年上の女の人。

 少年が、想いを馳せる度、手紙を書く度、そして女の人と言葉を交わし、触れる度、多感な少年のイメージは翼を持ったように飛翔する。

それは、神話の世界であったり、古典の世界であったり、怪談のような暗いイメージであったり・・・・そして、初々しいと同時に少年らしい潔癖さは、大人たちの卑俗な世界を拒絶する。

 しかし、どちらの女の人に想いを馳せたとしても、どちらにもある「現実」

少年は、哀しいことにそれを、乗り切ることはできない。

 このアニメーションはとても美しくて質感があるのですが、「どこか悲しげ」です。

それは少年の想いは、決して成就しないだろう、というなんとなく悲観的な空気が漂っているから。

 美術館に絵を観に行ったような感覚でこのアニメーションは、瞳の快楽を与えてくれます。  

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更夜飯店

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