団塊ボーイズ
Wild Hoggs
2008年2月27日 銀座シネパトスにて
(2007年:アメリカ:99分:監督 ウォルト・ベッカー)
誰がつけたか、この日本語タイトル。ため息もののタイトルです。
団塊の世代とは違うし、ボーイズの話でもない。
原題のワイルド・ホッグス、というのはバイク・チームの名前です。
ただし、いわゆる暴走族ではなく、もう中年にさしかかった4人の男たちが、ハーレーに乗って、バイク遊びをする、くらいの名前。
この映画、ハーレー・ダビッドソンが出てきますが、ハーレーって若者の乗り物ではないんですよね。
ものすごく大きくて、高いバイクだし、自分のものにできて、維持できるにはにはそれ相応の収入がないとダメなんです。
バイク、といえば若者だいっ、といってもハーレーに限っては、栄えある中年の証拠なり。
このワイルド・ホッグスの面々は、もう40代。
・ダグ(ティム・アレン)
歯科医で、妻と子供あり。でも、もうメタボリックシンドロームで、食事制限ばりばり。朝は、グレープフルーツ半分、夜はサラダだけ。あるのは、ぶよぶよになった腹ばかり。
・ウディ(ジョン・トラボルタ)
一番の成功者に見えた実業家・・・ところが破産、モデルの妻は離婚、家をなくして・・・一文無しの行くとこなし。
・ボビー(マーティン・ローレンス)
小説家になるんだ、と一年間、配管工をやめて執筆に専念するものの、いつの間にか妻が一家の大黒柱に。家にいるところ、なし。
・ダドリー(ウィリアム・H・メイシー)
自称、パソコンの達人、IT技術者。でもいいかえればできるのはパソコンだけで、恋ができないと半世紀たってしまった。ハーレーを持っているけれど、上手く乗れず、左折、右折がうまくできない。
さて、こんな4人が、もう、一週間、家族も生活も捨てて、西海岸をめざそうぜ・・・・とハーレーで旅にでる顛末。
もうね、ハーレー、ぶいぶい乗ってますというより、制限速度きちんとまもって整列運転。そんなハーレーらしくないバイクの乗り方がまず、可笑しい。原付乗ってるみたいですよ。
しかも、ダドリーはめちゃくちゃ運転がへたくそです。
気持をリフレッシュしようぜ、若いときみたいにやろうぜっ、という割には、もう体は40代でばてばてばてばて~~~~っていうのもなんともおかしいですよね。
ところが途中寄ったダイナーで暴走族と接触してしまった4人。この暴走族のリーダー、ジョニーがレイ・リオッタなんですね。もう、レイ・リオッタって、何をやらせても手堅くきっちりと、役にはまりますよね。
この場合、なんだかチンケな頭の中、なにもないようなただの暴れん坊・・・というのを手堅く演じていました。
これもかなりおかしいですよね。さすがレイ・リオッタ。ちっこい悪役にはぴったり、です。
ダイナーのある町は暴走族に荒らされて困っている。それをなんとも姑息な手段で「さすが40代の悪知恵」と感心するやりかたで、対決になるようで、ならないの。
そういうかわしかたがとてもうまいんですよね。ありがちな、流れをうまくかわして、姑息だぜっ!年の功だぜ!っていうところがね。なんでも若けりゃいいってものではないのですよ。
とはいえ、体力や人数では負けてしまうから・・・・でも4人は町を救うのです。
ダイナーの女主人がマリサ・トメイで、いかにも私、美人でしょ、というより、なんとも包容力と頼もしさがありました。
まぁ、正確にいえば、突然でてきた、カメオ出演のピーター・フォンダお父さんの大岡越前裁きで一件落着なんですけどね。さすがです。(息子のレイ・リオッタに「母さんに似てきたな」・・・ってどんなママなんだろう)
とろとろとろとろ、時々ガス欠しながらも、4人のバイク旅は続く。
40過ぎた人に、無理に若くなれっていうのは無理なんだ、ということがよくわかっていて、でも40代だからこその良さがあるんだよね、ということがよくわかっている映画なので無理がないです。
まぁ、無理があるとしたら、張り切って入れる、ウィリアム・H・メイシーの腕の刺青くらいかな。
実は、このメインの4人の役者さんのうち、ちゃんとハーレーを乗りこなせるのはジョン・トラボルタだけ、だったそうです。他の役者さんは、練習したり、スタント使ったり・・・でも、ハーレー上手く乗れないのよね・・・なんて使い方も上手いすね。すごいバイクを、すご~~~~いと感心して見るというより、あれあれ・・・と楽しく見られるのがこの映画のとてもいいところ。
4人の役者さんもいい味だしているし、全編ただよう、かわいらしさ、脱力ものの顛末、特にウィリアム・H・メーシーはどうしてハーレー乗りの役なんか?って思うけど、最後のくしゃくしゃって満面の笑顔・・・これはずるいや~~~~。
我がココロの映画です。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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