ヴィザージュ

ヴィザージュ

Visages/Face/Lian臉

2009年11月22日 有楽町朝日ホールにて

(2009年:フランス=台湾:141分:監督 ツァイ・ミンリャン)

第10回 東京フィルメックス オープニング作品

 台湾のツァイ・ミンリャン監督がフランスのルーブル美術館に選ばれて 、ルーブル美術館をテーマに映画を作り、それを美術館の初の所蔵映画にするというプロジェクト映画、らしいです。

 ところがどっこい、ツァイ・ミンリャン監督は「観光映画」なんて作らない人です。

全く媚びることをしない。

これがルーブルの目玉・・・というものは一切出てきません。

ルーブルの人も知らなかった(フランスの消防署の人から教えてもらった)という、地下下水道なんかを大変美しく撮るのでした。

 最初に「とても難解な映画で、観ていてつらいかもしれないです。観客を試すような映画でもありますが、これは、同時に映画が好きな人のために作った映画」と舞台挨拶がありました。

ただ、ツァイ・ミンリャン監督がクローズアップしているのは、

「顔」(ヴィザージュ・・・英語でフェイス)

そして、フランスのフランソワ・トリュフォー監督。

トリュフォー監督の映画を観ていた人にはありがたい映画。

 トリュフォー監督の映画の常連だったジャン=ピエール・レオが副主人公として出てきます。

他にもファニー・アルダン、ナタリー・バイ、ジャンヌ・モロー・・・

老いてしまった、自信をなくしてしまった、トリュフォー監督が早くに亡くなってがっかりして、ますます老いてしまった・・・

そんなジャン=ピエール・レオの「顔」が撮りたかったのだといいます。

 上映後の質疑応答で、監督は、私は自分の映画を難しい・・・と言われたいと思っています。

よく、わからない、わからないと説明を求められますが、 その時は、台湾のあるお坊さんの話をします。

「今日わからなかったら、明日わかるだろう。

明日わからなかったら、一年後わかるだろう。

一年後わからなかったら、十年後わかるだろう」

観るたびに印象や受け取り方が違う・・・そんな映画を作りたい、と言われていました。

 大変、謙虚で、ユーモアとウィットを感じさせる方で(周りが、ウォン・カーワイ監督と、自分、どちらが長く映画を撮り続けるか、賭けしてるんですよ~なんて笑いながらきついことを)、映画は、確かに 何故という説明はないけれど、気難しくはないのです。

くす、と笑ってしまう遊びに満ちています。

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