ドッグヴィル

ドッグヴィル

2004/03/18

シャンテ・シネ

 

これは踏絵のような映画です。

監督が「これを観られるか~」ってつきつけてくるのを、受け入れられるか拒絶するか。

なんとなく面白かったです、という感想はあんまり考えられなくて、「良し」と「拒絶」どちらかになる気がします。

監督自身そういう事を前提にして、腹くくって、ドッグヴィルワールドという寓話的な世界を創ってみせたようです。

よそ者が自分に無抵抗だとわかったとたん、「別にしなくていいこと」を「やらなくては許せない事」にすりかえて

押し付けてくる人間の欲の深さ。

それは大人だから、子供だから、男だから、女だからは関係ないのです。むしろそれぞれの立場からの

自分勝手な欲が集中してしまうのを、見て見ぬふりをしているにとどまらず、それを見て満足を得ようとする所まで、

描いていますから、監督の怒りのエネルギーはすごいもので、大変、攻撃的かつ挑戦的。

そしてラストにかけての立場の急激な変化と、エンドクレジットに流れるデビッド・ボウイの

'Young American'という曲で、ああ、・・・・だったのね、とわかる破壊力。

舞台装置のような状況設定、プロローグと9章に分けて、その章を説明、ナレーションの多用で説明も多いので、

比較的わかりやすい人間の持つ暗闇ですが、光と闇を美しく撮っているし、監督の媚びない姿勢が

つらぬかれて、とても印象深い映画です。

ニコール・キッドマンがずたずたになっても美しい・・・ですが、ニコール・キッドマンが見たい!って動機で観ると

監督に噛みつかれますよ。

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