ホワイト・バレンタイン

ホワイト・バレンタイン

White Valentine

2004年7月19日 新宿シネマミラノにて 1999年韓国:89分:監督 ヤン・ユノ

1999年のこの映画がレイトショーであっても公開されたのは、主役のチョン・ジヒョン(『イルマーレ』『猟奇的な彼女』『4人の食卓』)の当時17歳現役高校生時代の映画デビュー作だからでしょう。

しかし、韓国映画の流れを見てみると、このころ恋愛映画のブームだったんですね。1998年には『八月のクリスマス』『美術館のとなりの動物園』、1999年のこの映画のあと2000年に恋愛映画の名作『イルマーレ』『リメンバー・ミー』、2001年『猟奇的な彼女』となります。そして監督、ヤン・ユノはこのあと大作『リベラメ』を撮るのですね。

この映画はもう韓国恋愛映画の要素が満載ですから、韓国恋愛映画がお好きな方には是非観ていただきたいものです。

主人公たちのすれ違い、手紙のやりとり、落ち着いた雰囲気の建物、紅葉や雪景色を美しく撮る、切ない片思い、決してベタベタしないなんとも微笑ましい奥ゆかしさ。女の子は可憐で男の人は誠実。

実はこの映画はチェン・ジヒョンの相手役、パク・シニャンという男優さんの方が韓国では有名でネームバリューがあるそうです。『4人の食卓』でもチェン・ジョヒョンよりパク・シニャンさんが主役でした。もうもう、誠実そのものキャラクターです。

中学生の女の子ジョンミンが年をごまかして「自分は女教師です」と偽って軍人さんヒョンジュンと文通をしている、というところから映画は始まります。でも「会いましょう」と言われると困ってしまって姿を現すことをためらいやめてしまう。

そして年月が過ぎて、絵を描きたい、童話作家になりたいというジョンミンは高校を辞めて祖父の経営する本屋さんで祖父と喧嘩しながらも家事手伝いをしているところへ・・・・為替ディーラーからドロップアウトしたヒョンジュンが引っ越してきて小鳥屋を始めてしまうのだ。もちろん2人はかつての文通相手の存在を知らない。

ジョンミンはヒョンジュンが飛ばした白い伝書バトを見つけ、そこに手紙がついていることを見つけ、返事を書く・・うわ~~~ってな展開ですけれども、これがわざとらしい偶然ばかりではなく、微妙にすれ違いながら、色々なエピソードをはさみながら上手く「臭さ」を消しているのですね。そこはやはりテレビではなく映画だなぁ、と感心するところです。

そして2人が少しずつ近寄っては、すれ違って行く様子を丁寧に描いていますね。わかっているのは観客のみで、ああ切ない、ああすれ違ってる~~~と内心ジタバタ。

岩井俊二監督の『四月物語』がこれ全編かわいい松たか子ちゃん・・・で通したように、チェン・ジヒョンちゃんのかわいさ、可憐さ、寂しさをもう、丁寧に丁寧に映し出していますが、同時にパク・シニャンさんの誠実さ、真面目さ、孤独をきちんと描いていますね。それに加え風景や町並みの美しさも綺麗だなぁ。

秋の紅葉の美しい下で絵を描くジョヒョンちゃん、ころころしたシベリアン・ハスキーの子犬を拾いかわいがるジョヒョンちゃん・・・でも、ただかわいらしく撮るだけでなく小物全てが伏線になっていますからねぇ。なるほどねぇ~~~って感心。

この映画では少女と大人(20歳と30歳)という設定で、「おじさん」なんて呼ばれて明らかに年の差がわかるのですが、これが『4人の食卓』になると男と女ってなっていて、びっくりだぞ。ジョヒョンちゃんの成長とシニョンさんの不変。

時間を飛ばして描いていますが、大体は秋~冬のシーンで、今、暑い夏に観ていい冷却効果もあり。ラストの幕切れの仕方もなんとも粋ですね。全部を描かず、観客に余韻を持たせるようになっています。じ~~~ん(→余韻にひたっている私)

『4人の食卓』でもパク・シニャンさん、とても存在感があって良かったのですが、この映画ですっかりファンになってしまった私。この映画は実は、韓国ではそう興行成績はよくなかったそうです。

それはこの前に「約束」「手紙」というパク・シニャンさん主演の恋愛映画が絶大な人気だったため・・・だそうで、う~ん、観たいわ、「約束」と「手紙」

0コメント

  • 1000 / 1000

更夜飯店

過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。