わが家の犬は世界一
卞拉是篠狗(Cala, My Dog)
2005年3月29日 イイノホールにて(試写会)
(2002年:中国:100分:監督 ルー・シュエチャン)
どこの国も今時のペット事情は同じ。
主人公のラオは、家族よりも誰よりも愛犬、カーラが好き。雑種で、「ごめんなさい」って顔している(食用にもならない?!)カーラちゃんがいないと寂しくて仕方ない。思春期の息子は反抗的だし、奥さんはちょっと冷たいし・・・しかし、ここで中国事情というのが出てくるのです。
犬を飼う為には5000元もの登録料を払わなければならない・・・だからこっそり飼っている人がたくさん。夜の公園はそんな犬の散歩の人たちで一杯。
そこで保健所ではなく、警察が一斉取り締まりに来る・・・というのが・・・いやはや。
もう、犬を抱いて逃げまどう人々を追っかける警察官たち。もっと別の犯罪人を追って、治安を守ればいいのに・・・という感じですが、未登録犬をせっせと「捕獲する警察」っていうのが皮肉っぽいです。
しかし、運悪くカーラちゃんもつかまってしまって、明日の午後4時までに登録料を持って引き取りに行かないと「処分」されちゃうのです。
お父さん、夜勤明けなのに走り回ります。金の工面か、カーラちゃん奪回か?
犬映画ではなくて、カーラちゃんはずっとつかまっている状態だから、これは人間喜劇映画でした。
犬を飼う・・・という事を通して今時の中国のあれこれをスケッチするような映画です。
冒頭のシーンで、アパートの電気が突然消えて、ばんっと足を踏みならすとぱっとついたり、「午後の4時まであと○○時間」という字幕が何度も出たり、息子は息子で白猫を拾って何かしようとしている?のですが、伏線のようなものを張巡らせていて、これは後で何かにつながる?と思わせておいて、あらら・・・という肩すかしの連続になってきて、それが人間の生活うまくいかないことの象徴のようで可笑しい。特にラストのかわし方って凄いですよ。
ペットを飼う為にあれこれ奔走するって、動物を飼った経験のある人はわかると思うのですが、なかなかこの映画では、はきはきと物事が上手くいかないのです。新しい中国・・・そんな中で新しさにはきはきと上手くついていけない、そんな姿がとてもシニカルな視線で描かれていました。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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