ロボッツ

ロボッツ

The Robots

2005年7月25日 新宿厚生年金会館にて(試写会)

(2005年:アメリカ:監督 クリス・ウェッジ)

フルCGアニメーションで、100%作り上げた世界。

しかも、登場人物は(犬も含めて)ロボットだけ・・・と聞くと無機的なイメージがあるのかもしれませんが、CGで自然など有機的なものを作り上げるより、いっそのこと純粋に無機的なものだけ、という筋の通し方がいいです。

話としては、小さな田舎の町から、発明家をめざして大都市ロボット・シティで、夢をかなえる少年ロドニーの冒険です。

ずばり、貧しくても才能があれば成功する、というアメリカン・ドリームの物語。

しかし、この映画の良い所は、どうでもいいところに異常と言えるほど凝っていることです。

そして、そういうどうでもいいことのアイディアの豊富さと贅沢さ。無駄な部分に贅沢するってこれが本当の贅沢ってものかも。

大体、ロボットに家族・・・という部分を入れることは無理がありそうなのに、ロボットの子供をどう育てるか・・・というアイディアの数々に感心してしまうのですね。なるほど~そういう訳でしたか・・・しかも中古って所が笑えます。

そしてロドニー少年が、大都市ロボット・シティについて、目的のビッグウェルド・インダストリー社に向かう道中の、ピンボール状態の凝り方、凄いものがあります。

人間の乗るものと同じにする必要は無いわけで、球状の「特急」はピンボールのようにあっちに飛ばされ、こっちに落とされ、の連続。

またビッグウェルド博士の家の中のドミノの凝り方。もうこの一瞬のために一体どれだけの人々がかかわっているのかっていう壮大な無駄使いというのが、実に楽しい。

映画ネタや音楽ネタは、子供というより大人向け。えんえんとやらずぱっぱっぱっと次々繰り出す所もアイディアの豊富さとタイミングの上手さを感じます。

確かに動きの面白さ中心、わかりやすいメッセージ、子供が喜ぶ部類の映画かもしれませんが、なかなかどうして大人も感心してしまう良くできた映画なのでした。

本当に、ロドニーは中古だから錆びや傷があちこちについていたり、逆に敵となるラチェットのアップグレード感漂う鈍い金属の光り方、しかもスーツ風にデザインされたロボットです。いや~凝っているなぁ。

色が無機的な世界の割には、パステル調を意識しているような色使いで目がちらちらしないという配慮も嬉しい。

このアニメで私が一番お気に入りなのは、悪の根源的な存在、ラチェットの母、マダム・ガスケットです。

見た目もキャラクターも『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のオージー・ブギーに似ているのですが、頭がいつも噴火状態なのです。

いつも煙もくもくさせて、憤慨して、マザコン息子の尻をひっぱたく・・・嬉々として憎まれ役やってる・・・というのが、悪者が強烈であればあるほどこういう映画は面白いのです。その点、マダム・ガスケット、十分迫力有り。ちょっと勘違いしている母と息子のズレって言うのも、ただの悪役というより可愛らしさのあるものになっていました。

子供のためだけ・・・にしてしまうのはもったいない質の高さです。 

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