呪い

呪い

Curse of Lola

2005年10月28日 ヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第18回東京国際映画祭)

(2005年:中国:90分:監督 リー・ホン)

この原題を含めたタイトルからするとホラー映画です。

しかし、これは、どちらかというと恋愛ミステリのような要素が多いです。怖さというよりムードがいい映画でした。

前衛演劇の主役、ローラ役をめぐって起きる毒殺事件。

主役が殺されてしまった為に、主役を得た女性(ティエン・ユエン)

彼女は、舞台監督の男性(フランシス・ン)と同棲している。主役が欲しい為に殺人したのではないか・・・と疑われる女性ですが、殺したのではない。

しかし、今同棲しているフランシス・ンが、かつてその殺された女性と恋仲だったことを知る・・・

香港映画では、悪役からとんがった役・・・鋭利なイメージを持つフランシス・ンが、謎めいた舞台監督を物憂げに演じていました。

確かに知的で優しいけれど、どこかミステリアスな雰囲気を持つ男性。

こんな役をやってくれるのを待っていたのよ、私はぁ~~~っ。

映画は事の真相がこうでした、という事でなく、なんとも言えない重い余韻を残します。

街並みは、杭州でロケされたということですが、とても落ち着いた、そして近代的な雰囲気を持つ街です。

『危情少女 嵐嵐』という中国のホラー映画も、怖さよりも、雰囲気を大事にしていたのを思い出しました。

あまりグロテスクなシーンもないし、猟奇的な事は起きない。

舞台に立つ、という表の部分の影にある暗さのようなものが全編を貫いていました。

〔映画祭こぼれ話〕

監督のリー・ホンさんのティーチインがありました。

まだまだ若い、女性監督です。

しかし、話す言葉、質問に答える言葉から大変明確なヴィジョンをしっかり持っている頭の良い人、というイメージを受けました。

どんな質問にもはぐらかすことなく、真摯に雄弁に答えられる人ってとても頼もしいです。

フランシス・ンを何故、中国のホラー映画に呼んだのか、ということに関しては、監督自身が、今までのフランシス・ンの役をくつがえすような役をやって欲しかったからだし、本人もそれを強く望んでいたからだ、という事で、ちょっとホモセクシュアルな雰囲気があるという指摘には笑いながら、「次の映画では是非ホモセクシュアルの役をやってもらいたいと思っている」と答えていました。

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