忍 SHINOBI
2005年10月13日 丸の内プラゼールにて
(2005年:日本:101分:監督 下山天)
原作は山田風太郎の『甲賀忍法帖』
様々な忍法帖を書いた山田風太郎さんですが「誰も見たことがないのが忍者なんだ」という事を言っていたそうです。
そしてこの『甲賀忍法帖』も「甲賀ロミオと伊賀ジュリエット」と原作に書かれているそうなので、お話はまぁ、そういうことです。
忍者物というと、『影の軍団』とか、私はやっぱり白土三平の漫画『サスケ』『カムイ伝』なんです。白土三平の世界はとにかく厳しいってイメージが貫かれていました。
しかし、この映画はあえて、誰も見たことのないものを作りだそう、という心意気がいいです。
キャラクターのコンセプト・デザインが山田章博っていうのが私的には一番の魅力だったのですが、山田章博に忍者を描かせるという発想がいいです。
その分、過去の「忍者イメージ」を良く言えば変える、悪く言えば、壊す結果になったと思います。
なんだかんだいって、忍びの里が、山奥とはいえ、妙に明るく、健康的で、暗さがないのです。サワヤカだぞ。
だから、忍者たちの戦いもアクションや面白さや美しさを強調していて、時代は徳川家康の時代でも、「こういう衣装は、色使いはないでしょう」というものがたくさん出てくるのですが、それはそれ、何でもありの山田風太郎の原作の良さです。
対決シーンが一本調子でなく、様々なキャラクターが出てきて、私は蛍火と夜叉丸が好きなのですが、肝心のロミオとジュリエットの「技」というのはある意味、最強なんですが、その「技」がいいですね。
どうだ、どうだ~~~~という押しつけのない、新鮮な技です。ヒュンヒュン飛んだり、バリバリ暴れるだけが「忍術」ではないのです。
対決があって、また対決・・・という山が何度か繰り返されるのですが、結構あの手、この手を駆使している所がいいです。
こういう「見せる」シーンの多い映画で、ロミオとジュリエットをやるのは、そのバランス考えるの大変だっただろうし、その苦労はよくわかります。
絵としても、グロテスクさを排して、美しさを強調していて、甲賀弦之介(オダギリジョー)が、大きな満月をバックに追っ手の忍者3人を、ばばば~~っていう所のスピード感と構図の美しさなんて、観ていてほれぼれしますね。
本当にアクションが、興奮する!というより、アクションに見惚れてしまう、というのがこの映画の特徴。
伊賀のジュリエット、仲間由紀恵も最初は「本当に頭領なのかなぁ」と思う、線の細さに闘志のなさ・・・だからこそ、「技」が効いてくるのではないかと思います。
馬鹿馬鹿しい技の連続でも真面目に観て感心しちゃう。私はそう観ました。一番、じっくり観てしまったのは、銀髪に濃いメイクの椎名桔平の薬師寺天膳かもねぇ。蛍火の技もとても綺麗。夜叉丸の動きも軽やか。ちょっと『風雲 ストーム・ライダーズ』の風こと、イーキン・チェンを思わせますが、長い髪の毛でアクションするのが苦労したと話していて、『風雲~』ではもっと派手で凄いこと、軽やかにやってますから、改めて風(フォン)の凄さを再確認してしまいました。
更夜飯店
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