31→1の寓話

31→1の寓話

(私立探偵 濱マイク テレビ特別版Aプログラム:ロング・バージョン)

2006年4月16日 渋谷 シネマ・アンジェリカにて

(2002年:日本:81分:監督 緒方明)

林海象監督のヒーロー、私立探偵濱マイク。

濱マイクの説明をするには、アジア6カ国のプロジェクト「アジアン・ビート」6作と、林海象監督の映画『我が人生最悪の時』『遙かなる時代の階段を』『罠』の3部作・・・・そして2002年に林海象監督原作の12話を12人の監督が、映画のフィルムで1時間のテレビ・ドラマを作る・・・という企画になり、今回、その幻のロング・バージョンが2作、他10作品はテレビと同じ長さで映画館で公開・・・というもう歴史があるわけです。

随分長く、おつきあいしてしまったものだ、とひとりで感慨にふける・・・

主人公、濱マイク(アジアン・ビートではTOKIO)をずっと演じてきたのは永瀬正敏。去年の林海象監督の映画『探偵事務所5’』では、探偵の主役はゆずったものの、ちゃんと出てきました。

このテレビシリーズは各監督の個性が出ていて、どれも濱マイクの話ではあっても、雰囲気は違います。

『31→1の寓話』は、記念すべき第一話であり、濱マイク入門編として、最初に観た方がいいかと思いますが、それでも、何故濱マイクは横浜日劇にいるのか・・などは、もう語られません。映画では、横浜日劇の映写室の裏に探偵事務所をかまえている、という設定だったのですが、テレビでは日劇の屋上ということになっています。

妹、茜が、当時デビューしたばかりの中島美嘉。この子、誰だろう、と思った記憶があります。

濱マイクは、私立探偵であること、茜という妹がいること、というアバウトな設定だけで、独自の世界が広がるテレビ界では挑戦的な試みだったのですが、テレビでは理解されず、「毎回、訳わからない」という日本テレビの暴挙と言われました。

私は楽しみにしていましたね。このシリーズ。ビデオに全てとったはずなのですが、ロング・バージョンがなかなか公開されず、もう、あきらめていましたから、とても嬉しい。

さて、毎回何かしらの事件に巻き込まれる濱マイクですが、「私を探してください」という奇妙な依頼を受けます。

そこから、2000年問題と騒がれた、1999年大晦日から2000年元旦にかけて・・・・起こった出来事が浮かび上がります。

緒方明監督は、『独立少年合唱団』『いつか読書する日』に続いて、香川照之を重要な脇役として配置しています。

香川照之の演技って凄いのですが・・・また、富田靖子、菅野美穂などの使いかたも結構大胆。

そして、マイクの助手?同居人?の謎の女の子、ミルク(市川実和子)が何故、マイクの所に来たのか、このロング・バージョンで初めて語られます。

私は、なつかしく、かつまた新鮮な気持で観ました。やっぱり濱マイクの世界はいいですね。基本はハードボイルドなんですが、テレビドラマ版ではちょっとパンク系のキャラクターになっています。そこも実は全編に共通させている特徴なのでした。

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